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<始動!若林署>(下)変貌/復興へ治安が鍵に

発展著しい荒井東地区に立つ若林署(中央左)。東側には地下鉄車両基地と仙台東部道路が並ぶ

 若林署は仙台市若林区荒井の大規模な土地区画整理事業地の東端に建つ。一帯には東日本大震災の被災者が再建した住宅が並び、新しいまちづくりが進む。仙台の復興の象徴とも言える地域だ。

<防災機能を強化>
 署から約100メートル南に荒井東市営住宅(11階)がそびえる。市内外の被災者だけでなく一般入居者も含め約300世帯が入る。
 昨年12月下旬、同住宅の一室で死後数カ月とみられる住人男性(60)の遺体が見つかった。男性は1人暮らしで近所付き合いはなかった。住民同士の見守りの限界を示した一件だった。
 住民らでつくる荒井東町内会の庄司宗吉会長(83)は「警察署が近くにあるのは心強い。住民は震災の傷を抱え、心のケアが必要だ。課題を共有し、協力してもらえればありがたい」と期待する。
 署の東側は震災の津波が押し寄せた仙台東部道路が南北に走る。津波浸水域に隣接する署として防災機能を強化させたのも特徴だ。
 敷地内の倉庫棟2階に自家発電機を置いたほか、太陽光発電パネルも設置し災害時に電源を確保する。断水時に使えるマンホールトイレや水、食料を備蓄して災害対応に当たる警察官をバックアップする。救命胴衣やゴムボートなどの資機材もそろえた。

<区西部に懸念も>
 約500メートル北の市地下鉄東西線荒井駅は、仙台の東の拠点として周辺開発が進む。マンションやショッピングモール、イベント施設が続々と建ち、観光客や買い物客など外部から大勢が集うのと比例して治安悪化への懸念も高まる。
 今月中旬まで仙台南署長を務めた県警の鈴木孝彦首席監察官は「人口増加に伴い交通事故や犯罪が増える可能性がある。地域と連携して、スピード感ある対応が必要だ」と指摘する。
 若林署は当初、住民らの要望で区の中央部を貫く国道4号沿いや区役所周辺への立地も検討された。その後、十分な用地を確保でき、地下鉄開業で人口が増えることなどが考慮され、現在地に決まった。
 区のほぼ東端への立地により、区西部の一部地域は仙台南署の管轄時に比べ警察署まで遠くなった。西部は古い住宅地が多く、空き巣や忍び込みなどの侵入盗が多発している。
 区の最西部に近い南材地区町内会連合会の菅井茂会長(74)は「車がない高齢者は地下鉄を乗り継がないと警察署に行けなくなる。近くの交番ですぐに相談できる体制を整えるなど機能を充実させてほしい」と望む。(報道部・古賀佑美、荘司結有)

[メモ]仙台市の町名別住民基本台帳によると、若林区荒井地区(荒井大字、荒井1〜8丁目、荒井東1、2丁目、荒井南)の人口は1月1日現在で5350世帯、1万2854人。東日本大震災前の10年4月の同地区(当時は荒井大字のみ)に比べ世帯数は2倍、人口は1.8倍に増えた。


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2019年03月26日火曜日


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