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<救急車東奔西走>(2)高齢化の波/搬送頼らぬ仕組み必要

家庭菜園を手入れする小野さん。2017年に熱中症の疑いで救急搬送された

 仙台市内で救急車の出動件数が増え続けている。2018年は5万件を突破し、5年連続で過去最多を更新した。搬送者の約半数が65歳以上で、高齢化の進展が件数を押し上げる。不要不急の119番も相変わらず多い。東奔西走する救急車。5万件突破の足元を探った。(報道部・池田隆平)
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 最高気温31.7度。5日連続の真夏日だった。
 2017年8月26日、仙台市太白区の無職小野辰夫さん(79)は熱中症を訴え、救急車で市立病院(太白区)に運ばれた。

<熱中症倍増>
 「体が突然、言うことを聞かなくなった。死ぬかもしれないと思った」
 午後4時ごろ、自宅の庭で家庭菜園のキュウリの手入れをしていた。しゃがんだまま1時間近く作業し、立ち上がろうとして体の異変に気付いた。
 自力では立てない。うつぶせのまま玄関まではって移動した。通り掛かった人たちが偶然、小野さんを見つけて119番した。
 思えば予兆はあった。熱中症で倒れる4、5日前から朝起きるのが苦しかった。食欲も減退していた。
 約20日間の入院。妻百合子さん(60)にも心配を掛けた。小野さんは「まさか自分が救急車のお世話になるとは思わなかった。休憩を取らず、ずっと外にいたのが悪かった」と悔やむ。
 市内で熱中症を訴えて救急搬送された人は17年が255人、18年は記録的猛暑で565人に倍増した。65歳以上が17年は46.3%(118人)、18年は45.0%(254人)を占めた。
 18年に5万件を突破した市の救急車出動件数は高齢化が押し上げている。18年の搬送人員は前年より2468人増え、うち63.4%が高齢者だった。
 熱中症だけでなく、肺炎や心筋梗塞、呼吸困難、脳梗塞などで搬送される例が目立つ。在宅中や歩行中に転倒してけがを負い、救急車を呼ぶケースも増える。

<2.5人に1人>
 高齢者の救急搬送を多く受け入れる中嶋病院(宮城野区)の富永剛院長は「いわゆる老老介護の結果、自宅で介護し切れなくなり救急に助けを求める例も見られる」と明かす。
 市内の高齢化率は23%で全国の政令市で3番目に低い。だが、市の将来人口推計によると今後は右肩上がりで上昇する。50年には38%に達し、2.5人に1人が高齢者となる。救急車の出番が増えるのは確実だ。
 富永院長は「高齢者施設と医療機関を近接させるなど、救急車に頼らない仕組みを考える必要もあるのではないか」と提言する。


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2019年03月26日火曜日


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