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学生の文武両道支援 大学スポーツ統括組織「ユニバス」池田専務理事に聞く

池田敦司(いけだ・あつし)1956年、仙台市生まれ。仙台一高−早大出。百貨店勤務を経て、2005年に東北楽天を運営する楽天野球団入りし、副社長などを務めた。15年にJ1神戸の運営会社社長に就任、17年から仙台大教授。62歳。

 1日に発足した大学スポーツの統括組織「大学スポーツ協会」(UNIVAS=ユニバス)の専務理事に池田敦司仙台大教授(62)が就任した。100年以上の歴史がある全米大学体育協会(NCAA)を参考に発足し、国内197大学が加盟した。池田氏は「学生がより良い環境で学業、スポーツに全うできるように整備したい」と張り切る。

 ユニバスは、大学スポーツの露出拡大と、学生アスリートの文武両道の実践を柱に活動する。民間スポンサーを獲得し、その資金を競技環境の改善などに充てる。初年度の予算規模は約20億円。企業からの協賛金を募り、25年に50億円を目指す。
 初年度から効果が期待できそうなのが映像配信サービスだ。インターネット上で年間600試合のライブ配信を目指す。
 成功事例がある。仙台大は昨年12月、東北大とのサッカーの親善試合をネットで配信したところ、ダイジェスト版の視聴回数が観衆の40倍に当たる8000回をカウントした。
 池田氏は「見られることによる選手のモチベーションの向上、関係者やOBが愛校心を発揮する場にもなる」と説明する。これまで箱根駅伝など人気の大会は首都圏に集中してきた。動画配信によって地方への波及効果も期待される。
 学生アスリートはあくまでも「学業が本業」という姿勢を崩さない。スポーツ推薦で入る選手に対し、大学教育になじめるため、入学前から学習できるような体制を整えるほか、勉強に支障のない大会日程の調整も検討する。
 米国では大学で一定の成績を収めなければ公式戦に出場できないルールがあるが「日本流としてどう着地するか。学業もしっかりやるという風土をつくるのが目的」と強制力のない形で学業との両立を目指す。
 加盟校は総合大学、体育大、単科大などさまざま。スポーツへの温度差をどう埋めるかが課題だ。池田氏は「スポーツのアイデンティティーをどう確立するかが重要だ」と強調する。

◎一問一答米では地元の娯楽に

 池田氏に米国の現状や、ユニバスの将来像を聞いた。(聞き手は剣持雄治)

 −手本となった米国の大学スポーツの姿とは。
 「昨年2月、仙台大の国際交流事業でカリフォルニア州立大ロングビーチ校を訪問し、バスケットボールと野球を観戦した。観客はほぼ地域住民。野球は米大リーグを素直にまねた本格的な演出で始球式もあった。飲食物の販売も充実していた」

 −プロ並みの演出だ。
 「地方生活における一般的なエンターテインメント要素として大学スポーツが定着している。車で2時間かけて米大リーグやNBAを観戦するくらいなら、車で10分の大学野球やバスケットボールに足を運ぶのが米国なのだろう」

 −大学スポーツをどう定着させるのか。
 「日本の場合、一般学生と運動系の学生が分断されてしまっているのが現状。体育会の学生は寮と練習場を往復するだけの生活だった。ユニバスの基本理念の一つは文武両道。学業にも力を入れることで、講義などで一般学生と触れ合う機会が増える。競技や選手を身近に感じてくれる一般学生や地域住民に、応援してもらえる可能性も高まる」


2019年03月26日火曜日


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