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<民営化の針路 仙台空港>(中)独り立ち/訓練重ね運用経験積む

真剣な表情で航空機トラブルの図上訓練に臨む空港運用部の担当者ら

 仙台空港は2016年7月、全国の国管理空港で初めて民営化されて以降、旅客数の最多記録を更新するなど東北の空の拠点として存在感を高めている。東急電鉄など7社による運営会社「仙台国際空港」(名取市)が、民間ならではの事業展開で早くも結果を出した一方、前例のない地方空港ビジネスだけに誤算も少なくなかった。同社の現在地を振り返り、課題を探る。(報道部・保科暁史)

 「エンジン停止の確認は速やかにできていたか」
 仙台空港で3月11日、航空機の滑走路逸脱を想定した図上訓練があった。国土交通省から仙台国際空港(名取市)に出向した職員が、対応を指摘した。

<ノウハウを学ぶ>
 仙台空港は2016年7月に民営化したが、滑走路の管理や事故発生時の対応など空港運用の専門性が高い業務は国から専門職員の出向を受け、仙台国際空港空港運用部の担当者がノウハウを学んできた。その期限の3年が迫り、7月以降は独り立ちしなければならない。
 トラブルが発生した場合は管制から一報が入り、状況によって現場での情報収集や関係機関への連絡、滑走路閉鎖の手続きなどが必要になる。運用ルールの把握はもちろん、迅速で的確な判断が担当者に求められる。
 民営化からたった1カ月余りの16年8月、大きなトラブルが起きた。航空大学校の小型プロペラ訓練機が胴体着陸。火災などは起きなかったが、滑走路を約3時間閉鎖した。

<トラブルに対応>
 当時、対応の中心になったのは出向職員で、同社の担当者はサポートに回った。空港運用部運用企画グループの野川達也統括グループ長は「経験値がなく、先の想定ができない中での判断の難しさを痛感した」と振り返る。
 同社の担当者に空港運用の経験者はほぼいない。運用ルールを覚えるだけでなく、ルールが作られた背景も調べることで過去の教訓を学んだ。最も重要な判断力、調整力に必要な経験は図上訓練などの疑似体験を積み重ねて養った。
 18年12月には、小型機が着陸時に滑走路を外れるトラブルが発生した。直前に同様の事故を想定した訓練をしていたこともあり、運用部の担当者が関係機関と連携して対応。約2時間半後に滑走路を再開した。
 「これで自立できる」。野川統括グループ長は確信を得た。

<「健全な恐怖感」>
 民営化後、運営会社の有責事故や重大事故は一件もない。空港運用の経験はなかったが、仙台国際空港に参画する東急電鉄や前田建設工業の出身者は、鉄道運行や建設作業の現場で安全を担う人材育成の重要さを身に染みて知っている。
 仙台国際空港の岩井卓也社長は「もうかる、もうからないは社会的使命を果たしてからできる話。安全への健全な恐怖感は、どの業界にも共通する感覚ではない。空港経営はわれわれにとって、親和性の高い分野への参入だった」と語る。


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2019年03月27日水曜日


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