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アジアで続く東北産食品規制、検査情報 地道に発信を

[せきや・なおや]1975年新潟県生まれ。専門は災害情報論、社会心理学。福島大うつくしまふくしま未来支援センター客員准教授を兼務。著書に「風評被害」「『災害』の社会心理」など。43歳。

◎東大大学院准教授 関谷直也氏に聞く

 東京電力福島第1原発事故に関連したアジア諸国の輸入規制の背景には、各国住民の日本産食品への根強い不安感がある。2017年にアジアや欧米で福島県産品や国産品に関する意識調査をした東大大学院の関谷直也准教授(災害情報論)は、農林水産物の検査体制や検査結果を地道に伝える必要性を指摘する。

<不安感根強く>
 −17年調査では福島県産食品に対し、欧米よりもアジアの方が不安に感じる人が多いとの結果が出た。
 「アジアでは事故直後、放射性物質が飛散してくることへの不安が強かった。それが今も弱まっていないから輸入再開への反対が強い。厳格な検査体制などの情報が認知されていない」

 −不安の対象は福島県産だけか。
 「福島だけでなく東日本全般に感じている。台湾は茨城、栃木、群馬、千葉も含めた5県規制。中国は新潟、長野も含めた10都県規制。なかなか解除されない」

 −昨年11月の台湾の住民投票では、輸入規制継続が選択された。
 「台湾では与野党間の政治問題の一つとして輸入再開が扱われている。だが、台湾の人々の福島産への不安感、検査体制への知識不足に対処しない限り、根本的な解決には至らない」

 −タイでは昨年3月、福島県産ヒラメを飲食店で提供するフェアが消費者団体の反対で中止となった。
 「日本だったら放射性物質測定検査をクリアしたことが知られ、反対運動があっても流通できる。検査情報が足りないため、少しの反対でやめざるを得ない。そのハードルをクリアしないと『おいしい』『新鮮』という価値は伝わらない」

<理解者増やす>
 −政府や産地がやるべきことは何か。
 「海外で不安を感じなくなった人に聞くと、検査で放射性物質が検出された食品は出荷制限されていることを理由に挙げる。検査も結果も知らない人は買わない構図は国内も国外も一緒だ。流通する食品は検査をクリアしたと理解してもらうのが一番重要だ」
 「そうしたことを知った上でも買いたくない人は一定数いる。だったら、日本を好み、理解する人にアプローチすればいい。理解者を少しずつ増やすことで、問題は解決されていく」


2019年03月28日木曜日


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