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<見えないハンディと共に>不寛容社会を生きる(下)発達障害/夢へマイペースに勉強

エクセルを使って折れ線グラフや棒グラフなどを作る木下さん

<習熟速度著しく>
 「エクセルを使っていろいろなグラフを作れるようになった。分かりやすいのは円グラフか棒グラフか。考えるのが楽しい」
 発達障害のある仙台市泉区の中学3年木下俊さん(15)=仮名=がパソコンに向かい、トレーニングの成果に胸を張る。
 将来の自立に備え、昨年8月から民間の中高生向け就労準備型放課後等デイサービスに通う。学校の授業が終わると週に数回、教室があるJR仙台駅前へ1人で向かう。社会人として必要なパソコン操作やビジネスマナーを学んでいる。
 わずか半年だが習熟のスピードは目覚ましい。スタッフが「入門レベルならほかの生徒に教えられるほど上達した」と声を掛けると、木下さんははにかんだ。

<授業集中できず>
 どこにでもいる中学生に見えるが、周囲との差異に苦しんできた。
 授業に集中できず、小学3年の時に学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断された。文章は読めるが字はゆっくりとしか書けない。
 中学校では数学が苦手になった。少人数授業で、休み時間には友人が教えてくれたが、同じところでつまずく。「どこが分からないのかが分からない」。通常クラスで学ぶ英語や理科もついていけなくなった。
 つらい思いを母親に訴えた。中学1年の秋、支援学級での授業を希望すると、学校側から「人と接する機会が少なくなる」と難色を示された。祖父は「中学生なら、このくらいの勉強はできる」と厳しく接した。
 母親は「発達障害だと努力してもできないことがある」と繰り返した。本人のためを思ってくれているのは分かる。理解不足による善意だからこそ、なかなか納得してくれなかった。
 中学2年の秋ごろ、ようやく数学や国語は支援学級で授業を受けるようになった。木下さんは「自分のペースで勉強できるようになった」と素直に喜んだ。
 乗り物が好きで、普段利用するバスが一番のお気に入りだ。市バスは車種ごとに違うエンジンの音を聞き分けられる。
 今月9日に中学校の卒業式があり、4月から宮城県立の特別支援学校に通う。「将来は自立してバスの運転手になりたい。支援学校では技術や工作を頑張る」
 少しずつ周囲の理解を広げながら、ハンディと共に夢に向かう。

[発達障害]学習障害や注意欠陥多動性障害、広汎性発達障害などの総称。原因不明の場合が多い。脳機能の障害に起因することもある。仙台市によると、発達障害と診断され、保護者が支援を申し出た児童生徒は2018年7月時点で1554人。保護者の申し出はないが、学校が配慮を必要と判断した子どもは2465人。認知件数は増加傾向にある。


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2019年03月29日金曜日


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