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太陽光発電+独自送電網 葛尾新電力、村内にお金循環 中山間地初の試み

葛尾創生電力が自営線を張り巡らす福島県葛尾村の中心部

 福島県葛尾村が出資する自治体新電力「葛尾創生電力」が新年度、村内に電力を独自供給するインフラ整備に着手する。村中心部に自前の送電線を張り巡らせ、太陽光発電を組み合わせた全国でも珍しい試み。電力の地産地消にとどまらず、地域にお金を循環させることに力点が置かれている。
 同社は村と、県の第三セクター福島発電(福島市)が2018年10月に設立した。事業費8億円のうち5億3300万円は国の補助を活用する。
 計画は村役場の半径1キロ内に電柱を立てて「自営線」(総延長約4キロ)を敷設し、20年秋から公共施設や家庭など約120カ所に供給する。電源には約600世帯分に当たる出力2メガワットの太陽光発電と蓄電池を設置し、村中心部の電力需要の半分を賄える。
 こうした自営線による電力供給は「特定送配電事業」と呼ばれる。東北でも相馬市や東松島市の新電力が一部で導入するが、中山間地では全国初の試み。独自供給による防災力向上に加え、東北電の送電網使用料(託送料金)がかからず、利益率アップにもつながるという。
 今年4月には須賀川ガス(須賀川市)の取次店として電力小売りを開始する。自営線が届かない村民や避難住民にも東北電の送電網を使って売電し、新電力としての自立を目指す。他社の太陽光、風力発電施設で下草刈りの保守も請け負い、収益機会を増やす。
 東北の自治体新電力の多くは、業務を東京資本の大手任せにして雇用を生み出せていない。葛尾は当初6人、将来は8人を雇う。純利益目標額に4000万円を掲げるなど、中山間地に新たな産業を生み出す点が特徴だ。
 村復興推進室の島崇徳主任主査兼係長は「雇用に加え、利益が(半分超を出資する)村の独自財源にもなり、何より地域の再建につながる」と強調する。
 東京電力福島第1原発事故で全村避難し、16年6月に帰還困難区域を除き避難指示が解除された。今も約1400人が住民票を置くが、転入者を含めた居住者は約350人にとどまる。
 村は当初、太陽光発電を公共施設に融通する計画だった。東北電の送電網に空き容量がなかったため、県などの協力で自営線計画に至った。
 「公共インフラの二重投資ではないか」「採算は取れるのか」と、村議の間に慎重意見もあったが、「中山間地の新たなモデルになる」と社長の馬場弘至副村長。復興を担う若者の働ける場に育てる考えだ。


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2019年03月30日土曜日


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