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<2019統一選>青森・秋田・山形県議選 42人無投票当選 なり手不足、市部も深刻

黒石市選挙区で無投票3選を決め、万歳する鳴海さん(右から2人目)

 29日告示された青森、秋田、山形の3県議選は全47選挙区のうち23選挙区で無投票となり、立候補者の約3割に当たる42人が早々と当選を決めた。これまで1人区が中心だった無風エリアは今回、定数5の大仙市・仙北郡や定数3の大館、米沢など中核的な市部にも拡大。深刻ななり手不足が鮮明になった。
 「以前は定数より(立候補者が)2、3人多くて活気があった。戸惑っている」。大館市(定数3)で4選を果たした自民現職の佐藤賢一郎さん(71)が語る。同選挙区は市発足(1951年)以来、初の無投票となった。
 12年ぶりに無風となった平川市(2)はともに自民現職の工藤義春さん(69)と山口多喜二さん(69)が議席を維持。山口さんは背景に「40〜50代の政治離れ」を挙げた。
 米沢市(3)では、自民新人の相田光照さん(45)が「勝ち取ったのでもなく、信任されたのかどうかも分からない」と複雑な表情を浮かべた。
 山形県東田川郡(1)の無投票は3回連続。6選を果たした自民現職の田沢伸一さん(69)は長く故加藤紘一元自民党幹事長の秘書を務めた。「衆院選への小選挙区制導入による党営選挙になり、中選挙区時代に比べて活気がなくなってきた」と語る。
 田沢さんによると、中選挙区時代は衆院議員が集票力を高めるため系列の地方議員を増やそうとしたが、今はその必要がなくなった。結果的に地方政治を担う人材の発掘、育成が進まなくなった可能性がある。
 無風の理由はさまざまだ。黒石市では有力者が市長と地元県議のポストを分け合ってきた。今回も父が前市長で自民現職の鳴海恵一郎さん(46)が無投票で3選を決めた。
 かつてのような候補者調整を巡る党内対立も回避されがちだ。
 補選を含め3回連続無投票となった湯沢市・雄勝郡(3)では、立候補予定だった自民現職が今月6日に急死。後継擁立を目指す複数の動きがあったが、短期間で湯沢市議の住谷達さん(42)に一本化した。同士打ちにならず、住谷さんは2人の無所属現職と議席を分け合って初当選した。
 「3回も無投票が続くと何票取れるか分からなくなる」「選挙戦になった方が良かったのでは」。選挙戦は候補者が有権者と向き合う機会にもなる。歓喜に交じり、無所属現職の陣営ではこんな声も上がった。

<民主主義が衰退/山形大人文社会科学部の北川忠明教授(政治思想)の話>
 衆院選での小選挙区制導入で自民党は派閥間でしのぎを削る必要性が薄れた。系列議員の裾野を地方で拡大させる機運も薄れ、若手を育成する力が不足している。野党も旧民主党政権の崩壊を経て離合集散が相次ぎ、地方組織の維持が難しくなっている。候補のリクルートまで手が回っていない。地方議員選挙は一度当選すると地盤が形成され、新人の参入は難しい。地方選挙は候補者が地域のビジョンを訴える貴重な機会。無投票の増加は確実に民主主義を衰退させる。


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2019年03月30日土曜日


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