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<安住の灯>現行法制を一本化した被災者総合支援法、新年度に試案

 関西学院大の災害復興制度研究所(兵庫県西宮市)は新年度、現行の被災者支援法制を一本化した総合支援法の試案をまとめる。既存の枠組みを超え、被災者が主体となって住まい復興や生活再建の方法を幅広く選択できるようにするのが大きな目的。阪神大震災や東日本大震災などで指摘された課題を踏まえ、広く立法化を提言する方針だ。

 総合支援法の骨格は図の通り。災害救助法、災害弔慰金支給法、被災者生活再建支援法を統一し、応急対応期から復旧復興期まで切れ目のないサポートの実現を図る。
 住まい復興の支援策について、現行の法制は避難所から仮設住宅暮らしを経て、自宅再建や災害公営住宅への入居と選択肢が限られている。こうした単線的な支援の仕組みを見直す。
 被災した自宅の修理費用の補助制度を充実させ「応急的」「一時的」「本格的」と改修の程度に応じて支給する。家具や電化製品といった生活財の購入補助を新設し、避難所や仮設の代替措置にする。
 自宅の修理制度と新たな住宅の再建・購入に対する支援金をどちらも支給できるように認め、被災者の再建ニーズに合わせて選択の幅を広げる。
 プレハブなどの建設型仮設は、災害公営として住み続けられる仕様を導入し、買い取りや私有地での建設も可能とする。家屋損壊で居住が難しい世帯への家賃補助制度を設け、民間賃貸のマンションなどを借り上げるみなし仮設をなくす。
 国が定めた仮設の建設コストの基準は561万円(2011年当時は238万円)。東日本大震災では風呂の追い炊き機能や防寒工事などで約617万〜730万円に膨らんだ。入居期間は原則2年以内だが、8年が経過した今も解消されていない。昨年発生した北海道地震の被災地では建設コストが1200万円を超えるとされる。
 制度上、恒久的な住まい確保につながらない仮設の現状を変え、増大する整備費などを包括的な支援策の原資として充当を図る。
 策定作業は関学復興研の法制度研究会が進める。座長の山崎栄一関西大社会安全学部教授は「被災者の自己決定が尊重される制度を目指したい」と話す。
 関学復興研は東日本大震災の損壊世帯数や仮設、災害公営の設置戸数を基にした試算などを土台にして具体案を固め、公表する方針。


2019年03月31日日曜日


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