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看板娘は認知症のおばあさん 社会と関わり笑顔輝く 仙台・長町の駄菓子屋

介護施設に併設された駄菓子屋で、利用者や近所の子どもに囲まれ、お菓子を受け取る遠藤さん(左手前)。中央奥が林さん

 店番は認知症のおばあさん−。仙台市太白区の長町1丁目商店街にちょっと変わった駄菓子屋がある。小規模多機能型居宅介護施設「マイムケア長町」に併設され、近所の子どもたちが集う。社会との関わりを持ち、自らの役割や居場所を得たお年寄りが張り切っている。

 3月中旬の午後。小学生が次々訪れ、お目当ての菓子を買い求める。レジで品物を受け取るのは、施設に通う近くの遠藤沢子さん(81)。ビニール袋に品物を入れて「はい、どうぞ」と笑顔で手渡す。会計だけはスタッフが担う。
 遠藤さんは少し前のことを忘れてしまい、子どもやスタッフの顔と名前も一致しない。それでも「いろいろな人とおしゃべりできるので接客は好き。若い人から元気をもらっている」とうれしそうに話す。買い物かごを拭き、看板を表に返して店を開くのが日課だ。
 マイムケア長町は若林区の運営会社が昨年10月、通所、宿泊、訪問介護の拠点として開設した。70〜80代の男女5人が利用し、全員が認知症という。
 駄菓子屋があるのは通りに面した約30平方メートルの地域交流スペースで、今年1月に完成した。自主学習コーナーも備える。利用は月−土曜の午後1〜5時。全面ガラス張りで入りやすく、靴を脱げばそのまま施設に入れる。
 施設が掲げるのは「世話をしないケア」。従来の介護は安全面ばかりに目が行き、活動を制約しがちだったが、施設は高齢者に活躍の場をどんどん与える。その仕掛けが地域住民と触れ合う交流スペースだ。
 利用者には歩道のプランターに水やりをするおじいさんや、編み物が得意なおばあさんがいる。それぞれ保育園の鉢植えを育てたり、園児が使う雑巾を作ったりして社会と関わる。遠藤さんは利用者が食べる昼食作りも手伝う。
 施設管理者の林久美さん(46)は「認知症になっても頼りにされ、認められることが大切。出番があれば表情が明るくなり、徘徊(はいかい)や暴言といった問題行動は改善する」と強調。「人生の先輩として地域の中でまだまだ活躍できる」と訴える。


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2019年04月01日月曜日


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