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<東京検分録>小泉元首相/原子力ムラぶっ壊せるか

 平成の政治史に強烈なインパクトを残した小泉純一郎元首相(77)は、東京電力福島第1原発事故を機に脱原発にかじを切った。「自民党をぶっ壊す」と叫び、郵政民営化や構造改革を手掛けた主役はいま、政権の原発政策に真っ向から反論する。
 小泉氏が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」の講演会が3月13日、東京都内であった。約1500人を前に小泉節は意気軒高だった。
 「原発事故から8年たった。アンダーコントロール。どなたかが言ったようだけど、収束なんかしていないですよ」。2013年、安倍晋三首相が五輪招致演説で述べた内容を痛烈に皮肉った。
 政府や国会が設置した事故調査委員会の報告書、18年に改定されたエネルギー基本計画、フィンランドにある核のごみ最終処分場の視察…。原発を巡る国内外の情勢を70分間、立ちっぱなしでとうとうと語った。
 「過ちを改むるにはばかることなかれ」
 「老いて学べば、死して朽ちず」
 小泉氏が好んで紹介することわざだ。自民党を率いた首相経験者が原発推進を誤りだと率直に認め、太陽光や風力といった自然エネへの転換を各地で精力的に訴える。「変節」の印象は残るものの、己の信念を貫こうとする姿勢は、この人の真骨頂だろう。
 2月に単独インタビューした際は、将来的な脱原発に含みを持たせる次男の進次郎衆院議員(37)への期待を隠さなかった。
 「私の言っていることは分かっているはず。政府の政策に反旗を翻すのは、ある程度力を付けないと。(時機は)いずれ来ると思うけどね」
 夏の参院選については「野党が結束して原発ゼロを最大の争点にすれば、自民党だって1人区は分からんよ」と指摘する一方、「私はもう政治活動はしない」ときっぱり線を引いた。
 原子力ムラをぶっ壊す新たな劇場の幕は開くのか。「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、まさか」と冗談を飛ばした「変人宰相」。どんなサプライズがあるのか、まだ目が離せない。
(東京支社・瀬川元章)


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2019年04月01日月曜日


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