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<東京検分録>新元号発表会見/首相主役?演出に違和感

 新元号が「令和」と発表された1日、首相官邸の記者会見室で歴史的な瞬間に立ち会った。高揚と緊張が交錯した後、残ったのは強い違和感だった。
 当日の午前11時すぎ。200以上はある座席は全て埋まり、立ち見の記者も大勢いて騒がしい。菅義偉官房長官の記者会見は午前11時30分開始の予定。その時が近づくと室内は静まり始めた。
 予定時間を過ぎても会見が始まらない。遅れたことに関する説明もない。いら立ちにも似た緊張が漂う。菅氏がようやく姿を現し、新元号を発表したのは午前11時41分だった。
 額に入れられた墨書。「令」の字が意外だった。出典は地位や身分の分け隔てなく、さまざまな人の歌を収めた万葉集。わずかに冷たさを含む空気と初春の穏やかな風景を連想した。
 発表が終わって安倍晋三首相の記者会見が始まるまで約15分。この間、壇上の背景の色が変わった。菅氏が発表した時に水色だったカーテンは赤色に。首相が新元号発表の主役であるかのような演出だ。
 「一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そういう時代を国民と共に築き上げたい」
 首相は「令和」に決めた理由を問われ、こう答えた。平成改元時にはなかった首相による直接の発言。にもかかわらず、検討過程のほとんどを明らかにしないことに違和感を抱いた。
 それどころか「1億総活躍」や「働き方改革」といった言葉が飛び出した。まるで新元号への政権の思いを強調したい演説のような印象を受けた。
 今回の改元は天皇の逝去ではなく、あらかじめ期日が定まった退位に基づいた決定だ。新元号公表への国民の関心は高かった。お祝いムードの広がりは、その裏返しでもある。
 選定はどんな過程をたどり、どんな意見があったのか。全てを秘密のベールで片付けてしまっては、国民の思いを軽んじることにつながらないか。政府は選定の経緯について、十分な説明を尽くす責任がある。
(東京支社・山形聡子)


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2019年04月07日日曜日


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