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ハナミズキたどり高台へ 陸前高田で津波に備える市道26日全通

避難市道の全線開通を待ち望む浅沼さん

 東日本大震災で多くの犠牲者を出した岩手県陸前高田市に26日、津波発生を想定した避難路となる市道が完成する。震災で長男を亡くしたパート、浅沼ミキ子さん(55)は、仲間と記念碑を建立し、街路にハナミズキを植えて高台への避難を訴える。
 市道は延長1937メートル、幅員約25メートル。国道45号からかさ上げした市中心部を経て高台に向かう。歩道や路肩を広く設け、津波復興祈念公園や高田松原海水浴場からの避難路にもなる。
 市の嘱託職員だった浅沼さんの長男健(たける)さん=当時(25)=は、勤務していたプールから利用者を市指定避難所に誘導した後、津波にのまれた。
 10日後に遺体安置所で再会したとき、変わり果てた健さんの目から涙がこぼれたように見えた。浅沼さんは「悔しいよな。母ちゃんにできること、ねえか」と語り掛けた。
 高台に通じる避難路を夢でも見た浅沼さん。「この道があれば、かなりの人の命が助かった」と考えるようになった後、市の復興計画に避難市道の整備が盛り込まれた。
 2013年5月に仲間と「ハナミズキのみちの会」を設立し、整備を後押しする署名運動や植樹の準備に奔走するようになった。
 ハナミズキの花言葉は「永続」「返礼」「私の思いを受けて下さい」。子どもの頃から避難の心構えを身に付けてもらおうと絵本「ハナミズキのみち」(金の星社)を出版した。
 母の日の5月12日には、市道の起点で記念碑の除幕式がある。碑には「この道を、より高い所へ、駆け上がれ!」と刻む。
 植樹は今秋の予定。浅沼さんは「亡くなった人たちの思いが詰まった道路。悔しい思いを二度と繰り返さないよう若い世代に震災を伝え続けたい」と語る。


2019年04月08日月曜日


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