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<この人このまち>絵本通じ活字文化守る

石井修一(いしい・しゅういち)1973年田村市生まれ。いわき短大卒。仙台市の医薬品卸販売会社を経て99年に地元に戻り、2012年から店主。

 福島県田村市の石川屋は江戸末期創業の老舗商店だ。金物や風呂おけを扱っていた店は歴史とともに様変わり。今では医薬品に加え、大量の絵本が高さ5メートルの棚にずらりと並ぶ。「活字や絵本文化を守りたい」。店主の石井修一さん(46)の信念は強い。(柴崎吉敬)

◎書店「石川屋」店主 石井修一さん(46)/選択肢を提供する「プロの本屋」の責任果たしたい

 −そびえ立つような絵本の数に圧倒されます。
 「本販売は祖父の代に始まり、20年前に私が継いだ時も普通の『まちの本屋』でした。2008年ごろに絵本に特化しました」
 「最大の理由は深刻な活字離れ。読書の入り口である絵本から楽しさを見つけ、家族との会話につながれば、活字への抵抗感がなくなると思いました」

 −店頭だけで1000冊以上。どんな考えで仕入れていますか。
 「国内外の新刊から1950年代発刊の本までそろえています。絵は国や年代でそれぞれのタッチがあるのも面白い。物事の本質を教えてくれるなど、読み終えても心のよりどころになる本を中心に仕入れています。絵が素晴らしい作品も欠かせません。幼い子ども向けは楽しさ優先。付録の眼鏡を使うと別の絵が見えるなど親子の会話が生まれる本を重視します」

 −どんなお客さんが多いのでしょうか。
 「『今の気持ちに寄り添った本を選んでください』という方が大半。半日かけて探す方もいれば『将来、子どもに読ませたい』と本を選ぶ方も多いです」

 −大人向けの朗読会が人気と聞きました。
 「絵本文化を広げる目標に向け、昨年春から『平和』『感謝』などをテーマに計4回開催しました。心が洗われるような絵本を選び、ピアニストの演奏に乗せ、地元劇団の方が朗読します。絵本を自らの人生に重ねて涙する人もいます」

 −目指すのは。
 「今の本選びはインターネットの書評や読者のレビューに惑わされ、良い本が返品・転売されています。ほれ込んだ本の魅力を伝え選択肢を提供する『プロの本屋』の責任を果たしたいですね」

 −ご自身のお気に入りを1冊教えてください。
 「加古里子さんの『どうぐ』(福音館書店)が好き。身の回り物の成り立ちや使い方を説明しています。コミュニティーも同じ。それぞれが役割を果たして成り立っていると教えてくれる。身近な物を意味ある物として考えようという絵本です」


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2019年04月08日月曜日


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