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<北上・1歳児虐待死1年>異変に周囲対応できず

 北上市で当時1歳9カ月だった高舘優人ちゃんが、育児放棄で死亡した事件から8日で1年となった。大人社会は、どうして優人ちゃんのSOSを受け止められなかったのか。保護責任者遺棄致死罪で昨年12月、懲役5年の判決を受けた父親高舘拳受刑者(25)の公判などから事件を振り返る。
 「子どもの具合が悪い」。2018年4月9日午前2時45分、岩手県央消防指令センターに119番が入った。消防隊員が市営住宅に駆け付けると、既に息のない優人ちゃんを抱いた父親が玄関先に立ち尽くしていた。
 死亡推定時刻は同8日午後6時ごろ。司法解剖で死因は低栄養と脱水症状による全身機能障害と判明した。
 「予兆」は事件発生の数カ月前からあった。
 1月には料金を滞納していたガスと水道が止められた。優人ちゃんが通っていた認可外保育所は「極端に汚れた衣服で通所している」「保育所で異常な食欲を見せる」と異変を把握。2月末には北上市にも伝えていた。
 同じころに母親が家を出て、父子2人の暮らしが始まっていた。
 市は何度か家庭訪問を試みたが、父親はいつも不在だった。市職員は保育所に出向いて優人ちゃんに外傷がないことなども確認している。保育所の「親子仲は良い」との説明もあって緊急性は低いと判断した。
 優人ちゃんが最後に通所したのは3月30日だった。父親は「保育料を滞納していた後ろめたさで(育児を)1週間自分でやってみようと思った」と証言している。
 しかし、優人ちゃんは日中、暖房を切った自宅に置き去りにされ、父親は仕事が終わってから友人と何度も遊びに出掛けていた。食事は1日1回以下だったという。
 「後ろめたかったが息抜きがしたかった」と吐露した父親。「優人は大切な存在でした。自分が親としてやるべき事をしていれば…」と涙を流して反省を口にした。


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2019年04月09日火曜日


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