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<トヨタ東日本>被災地の企業カイゼン支援 作業効率化で成果、異業種交流や若手育成も

生産ラインの包装工程で改善策を話し合うトヨタ東日本の小林さん(左から3人目)ら

 東日本大震災の被災地で、トヨタ流の「カイゼン」が広がっている。トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は、企業に社員を派遣し、製造工程の無駄を省くなどの生産性向上を支援。作業効率化などの成果を導き出すとともに、異業種交流による若手の人材育成にも期待している。
 トヨタ東日本は昨年10月、水産加工業の釜石ヒカリフーズ(釜石市)に社員2人を派遣し、同社の若手とチームを結成。生産ラインの最終工程となる包装の改善策の検討に着手した。
 最初に取り組んだのは、生産予定の可視化だ。ヒカリフーズはサケやイカを原料に約400の加工品を取り扱うが、一日の生産計画は工場長らが決めており、現場の従業員に知らされるのは生産直前だった。
 チームは、生産品目や個数が一覧できる予定表の作成と掲示を習慣化し、従業員が事前準備をできるようにした。下処理など工程ごとに必要な人数、時間も計測。人手が足りない工程を他工程がサポートする体制を整えた。
 そうした作業環境の整備を踏まえた生産工程の改善では、単一だった包装工程の作業レイアウトを魚種や製品に応じたものに変更した。ヒカリフーズの白土満課長は「包装が追いつかず商品が滞留していた課題が改善され、従業員の負担も軽くなった」と語る。
 ヒカリフーズは震災後の2011年8月、同市の別の水産加工会社に勤めていた佐藤正一社長が、被災者の雇用の受け皿になろうと設立。現在は従業員約30人を雇用し、年間売上高約4億円の企業に成長した。
 カイゼン支援の受け入れについて、佐藤社長は「水産業にはない緻密さで各工程を分析し、感覚や経験に頼る部分を標準化できた。コスト削減につなげ、利益を給料などに反映していきたい」と手応えを語る。
 トヨタ東日本は13年度、震災で被災した岩手、宮城両県でカイゼン支援を開始。支援先は18年度末までに東北6県と新潟県の計103社に上り、うち被災地の企業は8割超を占める。
 企業とトヨタを仲介する岩手県沿岸広域振興局の担当者は「受け入れ企業の売上高や1人当たり生産額が増加するなどの成果が出ている」と評価する。
 支援するトヨタ東日本にとっても、異業種の従業員と互いに学び合うことで、社員の人材育成につなげる効果が期待できる。ヒカリフーズの支援を担当した小林勇貴さん(27)と菊地高広さん(30)は「全く違う業種で活動することで、現場の声に耳を傾ける意識が高まった。東北の多様な業種と組んでカイゼンを広めたい」と話した。


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2019年04月11日木曜日


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