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<震災8年1カ月>大熊町、避難指示解除「花は人呼ぶ」にぎわいに期待

自宅の庭先で咲いたスイセンを見詰める佐藤さん=10日午前9時10分ごろ、福島県大熊町大川原

 東京電力福島第1原発事故で福島県大熊町全域に出ていた避難指示が10日、大川原、中屋敷両地区で解除され、住民らはようやく訪れた節目を歓迎した。準備宿泊を続けてきた佐藤右吉さん(79)は大川原の自宅で解除を迎え、「町に戻る住民が増え、またいろいろな話ができるといい」と喜んだ。
 佐藤さんはいつも通り午前5時すぎに起床。犬の散歩を終えると庭や畑の手入れにいそしんだ。「風景は前日と変わらないが、気持ちは違う。これからは『いつでも遊びに来て』と言える」。表情が自然とほころぶ。
 仮役場がある会津若松市の仮設住宅と大川原の自宅を行き来しながら、この日を心待ちにしてきた。
 2012年12月、町の委託を受け両地区をパトロールする見守り隊が発足すると早速参加した。無人になった集落のために、きつい夜勤もこなしてきた。活動前後に除染が終わった自宅を訪れ、草が伸び放題だった庭を少しずつ整えた。
 準備宿泊が始まった昨年4月以降は自宅で過ごす日が増えた。「1人で晩酌をしながら一軒一軒みんなの顔を思い浮かべている」
 「人がどれだけ戻るのだろうか」と不安もある。パトロール中に次々と住宅が解体されるのを見た。避難先で住宅を確保する人が相次ぐ。子育て世代の帰還はなおさら難しいと感じる。
 数年前から庭で、ざる菊栽培に励む。「少しでも戻る人が増えてほしい」との思いからだ。当初は20株ほどだったが、昨年秋には約500株が花を咲かせた。
 「花は人を呼ぶ。住民を楽しませられるし、知らない人も来てくれて話ができる」。今年の秋に向けた苗作りが間もなく始まる。
 地区内の災害公営住宅に50世帯が入居を始める6月が待ち遠しい。妻タミさん(76)が自宅で過ごす日も増える見込みで、佐藤さんは「大熊も少し先が見えてきた。避難指示解除をきっかけに少しでもにぎやかになってほしい」と望んだ。


2019年04月11日木曜日


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