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<WTO逆転敗訴>ホヤ市場の復活遠く 宮城の生産者「崖から突き落とされた気分」

ホヤを養殖いかだからつり上げ、生育状態を確かめる漁師=12日、宮城県南三陸町戸倉

 韓国の水産物禁輸を巡るWTOの判断は、国内のホヤ生産量の6割を占める宮城県の水産業界に衝撃を与えた。巨大市場復活の夢を絶たれ、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた生産者はなりわいの将来を案じた。
 県産養殖ホヤは震災前、約7割が韓国に輸出されていた。禁輸解除は再起を期す生産者の悲願だった。
 「早ければ来年か再来年には輸出が再開できると見込んでいた。崖から突き落とされた気分だ」
 県漁協の丹野一雄会長は語気を強め、「国内の消費者や他の国でも再び風評被害が広がるのではないか」と焦りの色を浮かべた。
 2013年9月に始まった禁輸措置で県産ホヤは半分超が余剰となり、生産者は数千トンを焼却処分する屈辱を味わった。
 同県女川町でホヤ養殖を営む男性(67)は「別の魚種に転向するにも資機材や人手の確保が難しい」と頭を抱える。矛先は日本政府に向かい「禁輸措置は東京電力福島第1原発事故が収束しないからだ。東京五輪もいいが事故対応に本腰を入れてほしい」と憤った。
 同じく優良な養殖場の志津川湾では、残念な結果に不安と漁師としての誇りを抱えながら、黙々とホヤの生育状況を確かめる姿があった。
 県漁協は東電による補償を「20年終了」で大筋合意している。前提はWTO勝訴と韓国への輸入再開だった。県漁協の平塚正信理事は「状況は変わった。東電との協議を含め迅速に対応する」と話した。
 韓国市場は同様に禁輸が続く中国と合わせ、水産業全体の復興の鍵を握る。宮城の水産物輸出関係者は「禁輸措置が解除されない限り、水産加工業の回復は難しい」と指摘した。


2019年04月13日土曜日


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