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シジュウカラガン復活に尽力 仙台・八木山動物公園元副園長に大臣表彰

剥製を使ってシジュウカラガンの特徴を説明する阿部さん=仙台市八木山動物公園

 絶滅危惧種の渡り鳥シジュウカラガン復活に尽力した仙台市太白区の阿部敏計さん(62)が17日、本年度の「みどりの日」自然環境功労者として環境大臣表彰を受ける。阿部さんは市八木山動物公園(太白区)の元副園長で、千島列島・エカルマ島での15年に及ぶ放鳥事業に携わった。「多くの協力があり、地方都市の動物園の挑戦が実を結んだ」と受賞を喜ぶ。

 シジュウカラガンは、戦前まで仙台近郊の水田で多数見られたが、千島列島に放たれたキツネに捕食されて飛来数が激減。1983年、動物公園は日本雁(がん)を保護する会(栗原市)などと羽数回復に乗り出した。
 阿部さんは95〜2010年、無人島のエカルマ島で行われた全13回、計551羽の放鳥事業に中心的に関わった。現地入りは10回。野宿で環境調査に当たった。悪天候で迎えのヘリコプターが遅れ、木の実を食べて過ごしたこともあった。
 放鳥したガンが国内で見つかれば渡りのルート復活となるが、すぐに成果は上がらなかった。朗報が飛び込んだのは1997年末。大崎市古川の水田で3羽が見つかった。阿部さんは「苦労が報われ、涙が出る思いだった」と振り返った。
 2000年代に入り、国内の飛来数は徐々に増加した。09年度に100羽、14年度に1000羽を超え、17年度は5120羽まで回復した。18年1月には仙台市若林区藤塚の上空を飛ぶ77羽の群れも確認された。
 阿部さんは今年3月、動物公園を退職。4月から市内の動物専門学校で講師を務めている。今回の受賞を機に「失われた自然の営みを元に戻すには大変な努力が必要になる。二度と動植物を絶滅の危機に直面させてはいけない」と訴える。
 表彰式は17日午後2時から環境省内で行われる。

[シジュウカラガン]カナダガンの一種。羽毛は全体に黒褐色。頬が白く、黒い首と付け根の白い輪に特徴がある。千島列島やアリューシャン列島で繁殖し、日本や米国西海岸で越冬する。戦前までは仙台市周辺にも数百羽の群れが飛来していたが、毛皮目当てで天敵のキツネを千島列島などに放したため、一時は羽数が激減した。環境省は絶滅危惧種に指定する。


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2019年04月16日火曜日


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