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ワインで仕込んだ清酒 山形の酒店主が醸造 県産素材で味わい深く

ワインと酒米で造った清酒「阿字観」を箱詰めする熊谷さん

 山形市の純米酒専門店の店主、熊谷太郎さん(49)=気仙沼市出身=が、ワインと山形県産の酒米「亀の尾」などを融合させた新発想の清酒を造った。仕込み水の代わりにワインを使い、一般的な清酒とはひと味違う色、香り、味わいに仕上げた。熊谷さんは長期熟成酒として楽しむだけでなく、国内外に情報発信し、訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致や交流人口の拡大を夢見る。

 酒造りは昨年12月下旬、鶴岡市の酒類開発ベンチャー企業WAKAZE(ワカゼ)が東京都世田谷区に所有する醸造所で始まった。
 水とこうじの入ったタンクに、現役では最も古い東北ゆかりの清酒酵母「きょうかい6号酵母」を添加。数日後、水ではなく清酒で仕込む貴醸酒の手法にならって、ワインをボトル96本分加えた。
 約1カ月発酵させた後、もろみを搾り、ほんのりピンク色の清酒を500ミリリットル瓶258本に詰めた。現在は熊谷さんの酒店の冷蔵庫で熟成させている。
 ワインは南陽市産のブドウを6号酵母で発酵させた特別製。ワインをふんだんに使ったため、販売価格は透明瓶、黒瓶の2本1組で2万円と高くなった。
 透明瓶は新鮮なうちに色と味を楽しんでもらう。紫外線を遮る黒瓶は長期保存用。熊谷さんは「ブドウ由来の爽やかな香りと、品のある甘く濃厚な味わいが特徴。黒瓶は醸造技術のタイムカプセルとして長期熟成させ、味の変化を楽しんでほしい」と話す。
 銘柄は「阿字観(あじかん)」。酒店近くの寺にまつられている大日如来ゆかりの瞑想(めいそう)法からとった。阿字に味をかけ、観には長い年月をかけて見守ってほしいとの思いを込める。
 100セットを予約販売する。主な販売先として国内の愛好家とともに香港の市場を見据える。2月下旬、香港で開かれた日本貿易振興機構(ジェトロ)の商談会に、県内の食産業関係者と参加。酒販店、飲食店、消費者向けにプロモーションを行った。5月にPRのため、再訪する。
 熟成した阿字観を味わう催しを、山形で数年おきに開く構想もある。熊谷さんは「阿字観が清酒をはじめ山形の食文化に興味を抱くきっかけになり、インバウンドや国内の交流につながったらうれしい」と話す。
 連絡先は熊谷さんの酒店LaJomon(らじょうもん)023(666)8977。


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2019年04月17日水曜日


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