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<被災住宅修繕未完了>底突く退職金、年金暮らし…自宅損壊のまま生活「追い詰められる」悲痛

自宅2階で、地震で床から天井まで縦にひびが入ったままの柱を見る菅沢さん

 東日本大震災から8年が過ぎてなお、津波や地震で損壊した自宅での生活を強いられる被災者は少なくない。仙台市青葉区中山で暮らす無職菅沢啓子さん(67)の自宅を訪ねた。
 築45年の木造2階。激しい揺れで2階の複数の柱に深い割れ目が入り、1階の天井のはりはずれたままだ。市の修繕状況調査には「一部修繕済み」と答えた。
 震災で2階のコンクリート敷きのベランダがずれ落ち、屋根が引っ張られてゆがみ、1階のサッシは開閉できなくなった。
 屋根の張り替え、玄関の修理など補修代金は約800万円に上った。25年勤めた会社の退職金や火災保険の見舞金を充てたものの、直し切れなかった。
 市の目視による損壊判定は「半壊」。異議を申し立てたが、2度目の判定でも覆らず「津波の被害でもっとひどい人がいる」と言われた。公的な支援は応急修理制度(52万円)と義援金(54万円)だけだった。
 生活再建支援制度では半壊住宅を解体して建て替えた場合、最大300万円が支給される。菅沢さんは知らなかった。「仕事が忙しく、誰に相談すればいいか分からなかった。知っていれば自宅を解体して新築していた」と嘆く。
 1人暮らし。震災後、過労や人間関係の悩みでうつ病を発症した。退職金は自宅修繕で使い果たし、年金で暮らしをつなぐ。菅沢さんは悲痛な思いで訴える。
 「時間がたつほど追い詰められる。どうすればいいか分からず困っている人は他にもいるのではないか」
(石巻総局・氏家清志)


2019年04月20日土曜日


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