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<あおもり点検 三村県政16年>(5完)エネルギー/風力の経済効果限定的

青森県大間町の風力発電施設。10基のうち9基が県外資本だ

<県外資本が搾取>
 海沿いで、丘の上で、うなりを上げながら巨大な風車が回る。
 青森は再生可能エネルギー県として知られる。風力発電施設は250基超。最大出力を合わせた2018年3月時点の総設備容量は約42万キロワットで、10年連続で全国1位となった。
 だが、地元関係者の表情はさえない。「県外資本に青森の豊富な資源を搾取されているだけ。『風力植民地』状態だ」。八戸市の風力電力会社社長の富岡敏夫さん(73)が嘆く。
 県内の風力発電の多くは県外資本の企業が手掛けている。事業所などの地方拠点は少なく、税収面の貢献度は低い。
 地域経済への波及効果も限られる。再生エネは装置を設ければほぼ人手をかけずに運転できるため、雇用を生みづらい。地元雇用があったとしても、点検やメンテナンスなどが中心となる。関連産業も決して多くはない。

<原子力は桁違い>
 対比されるのは、青森に立地する原子力産業だ。
 県には多額の原子力マネーが入り、雇用の裾野も広い。17年度までの電源三法交付金の累計は約3330億円。日本原燃(六ケ所村)は4月1日現在、県出身者1770人を雇う「地元企業」だ。
 大間町内の大型風力発電10基が町にもたらす固定資産税は年間約5000万円。稼働すれば数十億円になる原発は桁が違う。
 東日本大震災などの影響を受け、電源開発大間原発(大間町)や東京電力東通原発(東通村)は建設がストップし、東北電力東通原発(同)は運転を停止している。地元の建設業者は請け負う仕事がなく、宿泊施設は作業員の需要低迷にあえぐ。
 大間町の野崎信行町議は「原子力は先行きが不透明。頼り切ることはできない。再生エネで稼ぐ方法を探っていかなければならない」と話す。
 県は国内のエネルギー供給基地として原子力と再生エネの共存を目指す。3月には洋上風力発電事業者の海域占有を最大30年許可する促進区域指定に名乗りを上げた。六ケ所村には国内最大級の太陽光発電所も整備されている。
 東電福島第1原発事故もあり、近年は再生エネ拡大の要請が強まっている。成長が見込まれる再生エネ分野の人材育成、地元企業の参入や業務受託に向け、県には主導的役割が求められている。(青森県知事選取材班)

◎専門家の目/技術者の育成を 八戸工業大准教授 小玉成人さん(45)

 風力発電事業は膨大な資金が必要で、地元資本だけではハードルが高い。青森県内には、県外資本と共同で事業を進める組織もあるが、主導権は資金力のある県外資本に握られてしまいがちだ。
 風力発電施設は定期的なメンテナンスが必要になる。地元企業がメンテナンスを担うことができれば雇用が生まれるだろう。専門的な知識や技術を持った人材を県内で育成することが必要だ。
 大手企業に対して、メンテナンスで地元企業を使うことを県として要望する姿勢があってもいい。
 今後、初期に建設された風力発電施設はリパワリング(建て替えによる出力増強)の需要が高まる。風車の部品などを作る工場を誘致できれば、地域に雇用をつくることができる。
 青森は風が強く風力発電にとって恵まれた地域だ。だが県民の風力発電に関する認識が薄いと感じる。県は周知にも力を注がなければならない。


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2019年04月21日日曜日


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