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<外国人労働者と秋田>(上)交錯/「戦力」確保期待と不安

250人以上が詰め掛けた外国人雇用管理セミナー。外国人労働者への期待の高さをうかがわせた=3月中旬、秋田市

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法=?=が1日、施行された。人口減少が止まらない秋田県では、先細る労働力の担い手として期待が高まる一方、受け入れ環境は整っていない。共生を見据え長年模索を続ける国内先進地の現状とも比較し、展望を探った。(秋田総局・鈴木俊平)

 「外国人いりませんか」
 秋田県南の製造業者に2月中旬、外国人技能実習生の受け入れ組合を名乗る男から一本の電話が入った。
 受話器越しに慣れた口調で続ける。若いベトナム人で子どもはいない、残業に意欲的で賞与はいらない−。会社の規模や業績も調べ上げられていて、気味が悪いと感じた50代の男性社長は断った。
 1カ月後の3月中旬に秋田市であった外国人雇用管理セミナー。参加した男性社長は「秋田は注目されている」という秋田労働局幹部の言葉に神妙な面持ちで聞き入った。

<魅力ある市場>
 平成の30年間で人口が25万減り、100万を割った秋田県。失われゆく労働力を補う存在として、外国人労働者に活路を求める動きが表面化している。
 「業界団体にも受け入れの打診がある」と労働局幹部。外国人労働者が全国最少にとどまる秋田が、供給する側には魅力ある未開拓市場に映っているとみる。
 5年間在留できる技能実習生は全国で30万人を超えている。改正入管難民法が施行され、特定技能1号への移行で最長10年間就労でき、2号になれば永住も視野に入る。長く働いてほしい企業と外国人労働者の意向が合致し、増加傾向は続くとみられる。
 しかし受け入れに伴う「闇」の部分は放置されたままだ。県内では16年1月から18年10月の間に実習生56人が失踪し、ほとんどは消息不明。友人が職場から逃げ出したという技能実習生は、友人の思いを代弁する。「給料は言われてたより少ない。『残業休むな』とぶたれた。社長が嫌だ」
 県央部にある町工場の社長はその事実を否定し「給料泥棒でしかない。こっちが被害者だ」と反論した。

<失踪者相次ぐ>
 国は失踪者が相次ぐような現実には目を背ける形で、働き手確保の観点から技能実習制度を改正入管難民法に組み込んだ。制度に詳しい全統一労働組合の佐々木史朗書記長は「使い捨ての労働力としか思っていない証拠だ」と痛烈に批判する。
 生々しい証言や厳しい指摘がある一方で、雇う立場からは外国人労働者を渇望する声が高まる。
 秋田やまもと農協(秋田県三種町)は人手不足解消の一手として昨年、ベトナム人技能実習生5人を受け入れた。米森萬寿美組合長は現場を支える貴重な戦力だと評価し「地域営農は外国人抜きでは成り立たない局面にある」と強調する。
 約20年前から中国人実習生を雇用する秋田市の縫製会社の社長も「住民として地域に溶け込み始めている。安い労働力という考えは時代遅れだ」と言う。
 外国人労働者は衰退する地域の救世主か、使い捨ての労働力か。期待と不安が交錯する。

[改正入管難民法]一定技能が必要な特定技能1号と熟練技能が求められる同2号を設け、外国人労働者の単純労働分野への就労に道を開いた。同一業務内の転職も認める。1号は在留期間が5年で家族を帯同できない。2号は期間を更新でき、家族帯同も可能。農業や介護など14業種に5年間で最大34万5000人を受け入れる。


関連ページ: 秋田 社会

2019年04月23日火曜日


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