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<外国人労働者と秋田>(中)支援/対応遅れ 地域に溝生む

日本語を指導する北川さん。外国人が地方で暮らす不便さを痛感している=2月4日、能代市

 雪がちらつく2月上旬の夜。能代市の公民館の一室で、外国人の小中学生や会社員ら計10人が学校の宿題や漢字の問題集とにらめっこしていた。
 市内の外国人を対象に週2日開かれる「のしろ日本語学習会」。代表の北川裕子さん(69)がジェスチャーや流ちょうな中国語を交え熱心に指導する。30代の中国人女性は「仕事で使う難しい言葉も理解できるよ」と得意げに笑った。

<先行き不安視>
 北川さんは1994年、中国残留孤児への支援を機に学習会を発足させた。能代に生きる外国人の学びの場を、スタッフの主婦や学生らと支え続ける。
 日本語の授業を理解できず特別支援学級に回される子ども、煩雑な行政手続きなどに戸惑い孤立する親、過重な労働を強いられ職場を離れた技能実習生…。
 「日本語教室は地方で暮らす外国人の実態を映し出す」と北川さん。1日の改正入管難民法施行を機に経済界を中心に高まる期待感とは裏腹に、不安を募らせる。
 国は昨年末、外国人との共生に向けた126項目の総合的対応策を公表した。軸となる生活支援は日本語学習も柱の一つとされたが、足元の現実は厳しい。
 秋田県には日本語学校がなく、地域の教室は講師を務める住民の高齢化やノウハウ不足が顕著だ。県の対策は雇用相談員の配置やセミナー開催などにとどまる。
 北川さんは生活支援の遅れに「企業や役場、住民が歩調を合わせて取り組まないと地域に溝が生まれる」と先行きを不安視する。

<トラブル今も>
 いかに共生の下地を築くか。受け入れ先進地では地域を挙げた模索が続く。
 SUBARU(スバル)やパナソニックの生産拠点が並ぶ群馬県大泉町。90年施行の改正入管難民法を機に多数の日系人らが定住した。2月現在、人口約4万1000のうち2割近い約7600を外国人が占め、国籍数は50に迫る。
 町は多言語広報誌の作成や通訳の採用、小中学校での日本語学級運営などに年間約1億円を費やす。一方で受け入れから30年近くを経た今も、ごみ出しや騒音を巡る外国人絡みのトラブルが絶えないという。
 「小さな町は各国籍のコミュニティーがつくりやすく、日本語ができなくても生活できてしまう」と町多文化協働課。町内で暮らす外国人に必要な行政支援が行き届かない現状を憂い、「距離感」を測りかねる。
 2008年のリーマン・ショックでは、町内外国人の4割が失業し「雇用の調整弁」としての存在が浮き彫りになった。貧困支援や再就職対策など町の対応に終わりは見えない。
 町幹部は「一度受け入れれば依存は強まり、ずっと向き合っていかなければならない」と話す。共生のパートナーとなる外国人労働者を受け入れる地域社会の覚悟が問われている。

[1990年施行の改正入管難民法]バブル景気による深刻な人手不足を背景に、日系3世までに「定住者」の在留資格を与えた。資格を得た日系ブラジル人は2007年のピーク時に31万7000人。リーマン・ショックや東日本大震災の影響で減少したが、母国の不況などを背景に再び増加傾向にある。


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2019年04月24日水曜日


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