秋田のニュース

<外国人労働者と秋田〜共生の行方>(下)針路/問われる生活者の視点

外国人労働者の受け入れ態勢の充実を訴える群馬県大泉町の村山町長(左から2人目)。省庁幹部は具体性を欠いた回答に終始した=1月29日、群馬県太田市

 「今年は移民元年となる」。日本国際交流センター(東京)の毛受(めんじゅ)敏浩執行理事が呼び掛けた。
 群馬県太田市で1月下旬にあった外国人集住都市会議=?=。改正入管難民法施行が4月に迫る中、外国人労働者が数多く暮らす自治体の首長ら約400人が、省庁関係者と意見を交わした。
 海外からの技能実習生や「出稼ぎ」目的の留学生によって労働力を確保する一方、国はこれまで移民政策を取らないと言い続けてきた。外国人労働者の受け入れを拡大する法改正について、毛受氏は「歴史的な政策転換だ」と強調した。
 新しい制度は教育や医療など126の支援策を組み込み「生活者」の視点を取り入れる。法務省幹部は「受け入れ環境の整備を政府の役割に入れるべきだと考えた」と解説した。

◎課題 多面的に

 東北6県の外国人労働者は2018年10月現在、約3万2500人。秋田は1953人と全国でも最少で、労働現場や地域社会に受け入れの下地が整っているとは言えず、クリアすべき点は多い。
 会議は、東北が直面しつつある課題を多面的に浮かび上がらせた。
 国が重要施策の一つに掲げる日本語教育。三重県四日市市の森智広市長は「日本語教室はボランティアの運営では質と量の両面で限界がある。外国人労働者は仕事で教室に来られない場合も多い」と指摘した。
 さらに、居住地と勤務先が異なる場合は自治体の支援が行き届かないとして、受け入れ企業が日本語や生活の指導を確実に実行するよう、国が法的に義務付けるべきだと迫った。

◎医療面に不安

 医療体制の整備も急務だ。秋田県で外国語に対応できる医療機関は6施設しかない。多言語の問診票の活用も広がりは薄い。医療現場からは診療費の徴収に関する不安も聞かれる。
 群馬県大泉町では、外国人労働者が失業後も健康保険証を使い続けるケースが相次ぐ。村山俊明町長は「労働者として来日するが(日本で暮らす)生活者でもある。ルールをしっかりと守ってほしい」と訴えた。
 受け入れ先進地では、市民団体による医療通訳の提供・育成や国際交流イベント開催などの取り組みが広がっている。専門知識やノウハウを持つ人材や財源が限られる秋田などでも、産学官民が手を携えたアプローチが共生の鍵となるかもしれない。
 不安を抱えた船出となった東北の現場。明確な答えが示されないまま、走りながら針路を定めていくことが求められる。

[外国人集住都市会議]自動車メーカーの生産拠点などに多くの外国人労働者を抱える全国13の自治体で構成する。会議を年1回開き、就労や教育、医療などの支援策や課題を共有し、国や都道府県に改善を要請している。


関連ページ: 秋田 社会

2019年04月25日木曜日


先頭に戻る