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被災神楽面 再び復活 宮城・本吉地方に伝わる27枚 津波で流失、6年かけ制作

約6年の歳月を経て復元された本吉法印神楽の神楽面

 宮城県本吉地方に伝わり、東日本大震災の津波で流失した本吉法印神楽の神楽面全27枚が、約6年の歳月を経て復元された。面は約60年前に火災で焼失しており、復活は2度目。手元に残るわずかな写真と記憶を頼りに制作された奇跡の面は、石巻市北上町の釣石神社で28日にある奉納神楽で披露される。

 東北各地の仏像修復などを手掛ける東北古典彫刻修復研究所(上山市)が、本吉地方で神楽の保存活動をする本吉法印神楽会の依頼を受け、2013年7月から制作に取り組んだ。
 スサノオノミコトや般若などの面はいずれも現存する写真が2枚ほどしかなかった。粘土や石こうで試作を重ね、口の開き方や目の大きさ、頬の肉付き、顎の張り出し具合などを調整。神楽会と意見交換し、憂いや若々しさといった微妙な表情を加味していった。
 同神楽会会長で釣石神社宮司の岸浪均さん(64)は「記憶に頼る部分が大きかった。作業は大変だっただろうが、納得できる形でほぼ修復できた」と語る。
 本吉法印神楽は江戸時代後半ごろに「古事記」を題材に形づくられ、現在に伝わったとされる。面は宮城県内の本吉、歌津、志津川、津山、北上の旧5町の各神社で神楽が奉納される際、代々使われてきた。
 震災当時、同県南三陸町にある戸倉神社の宮司斎藤直人さん(58)方で保管していたが津波で被災。刀や扇などの道具や装束とともに流失した。
 震災後は別の団体から面を借りて神楽を奉納したものの、伝統ある本吉神楽独自の面への思いは消えず、復元を決意。面にかかる約2000万円の費用は日本財団の地域伝統芸能復興基金の支援を受けた。
 被災した面は約60年前、火災で焼失した。1964年、仙台市の著名彫刻家翁朝盛(1906〜68年)が全27枚を制作し、復活した経緯がある。
 今回復元された面は3月17日に神楽会に届けられた。今月28日は新調した装束とともに「磐戸開(いわとびらき)」など7演目が披露される。
 面の復活を歓迎する一方、神楽は担い手不足が続き、存続の危機にある。岸浪さんは「お面の復元をきっかけに地域の伝統芸能を次の世代に引き継ぎたい」と期待する。


2019年04月27日土曜日


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