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<東日本大震災>21年度以降応援職員ゼロも 自治体体制縮小へ「出口戦略」進める

二上さん(左)から震災時の状況について学ぶ宮城県石巻市の新規採用職員

 東日本大震災からの復興で多数の応援職員に支えられてきた岩手、宮城、福島3県の被災自治体が、人員体制の縮小に向けた対応を迫られている。復興・創生期間(2016〜20年度)が終わる2021年3月を見据え、業務の外部委託や組織再編による「出口戦略」を進めている。
 「震災発生時、家族が心配で職場を離れて帰った職員がいた」。石巻市役所で11日、本年度採用された職員向けの研修があり、市の元危機管理監二上洋介さん(60)が震災対応の難しさを伝えた。
 市は14〜18年度、退職者と同数を新規採用する「フル補充」で人手を確保してきた。19年度以降は職員数の適正化にかじを切り、ピーク時(17年度)の2140人から近い将来、震災前の約1300人まで削減する方針だ。
 21年度以降も続く復興事業を見越し、人手不足をカバーするため業務の外部委託を導入する。手始めに8月から市民課の窓口業務を民間に委ねる。
 陸前高田市は4月、岩手県で初めて窓口や庶務の業務を外部委託した。職員の減少に備えるとともに、人件費の抑制による財政健全化の狙いもある。
 21年度以降、多くの被災自治体で応援職員がゼロになり、職員数は震災前の水準に戻る見込みだ。
 現在、約80人の応援職員がいる岩手県大槌町は本年度、震災後に創設した総務部、総合政策部、復興局など5部局を全て廃止し、17課室から14課室へ大幅にスリム化した。総務課は「本当は引き続き応援が欲しいが、復興・創生期間が終わる現実と向き合わなければいけない」と説明する。
 一方、津波被災と東京電力福島第1原発事故からの復興を目指す福島県浪江町は「帰還困難区域を抱え、復興事業も多く残る。先のことを考える段階にない」(総務課)という。将来、適正な職員数を算定する目安となる人口、それに基づく町の財政力も見通せず苦悩する。
 岩手大地域防災研究センターの福留邦洋教授(地域防災)は「国は自治体の状況を把握した上で必要な支援策を継続すべきだ。自治体側も求める人材像を精査し、人数だけでなく質を確保しなければならない」と指摘する。


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2019年04月29日月曜日


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