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角田の銘菓さようなら 江戸時代創業「鎌田家老舗」12日閉店

閉店を惜しみ来店した客に商品を渡す鎌田さん
鎌田家老舗の店舗

 江戸時代に創業した宮城県角田市の和菓子店「鎌田家老舗」が12日、閉店する。創業時からの「亀甲羊羹(ようかん)」をはじめ、数々の和菓子が角田土産として愛されてきた。慣れ親しんだ味との別れを惜しむ市民がひっきりなしに店を訪れている。

 創業は1658年と1807年の説があり、定かではない。近年は創業家の長女で社長の鎌田みさ子さん(62)が、家族経営の店を支えてきた。
 看板商品は、サツマイモの風味を存分に生かした羊羹「いも殿下」や、梅をあんと餅で包んだ「梅花の里」。いずれの商品も、92歳で一昨年亡くなった鎌田さんの父で先代社長の稔さんが開発した。
 稔さんは教師を定年退職してから店を継いだ。それまでは長年、今年3月に84歳で亡くなった母文子さんらが切り盛りしてきた。
 鎌田さんは大学卒業後、店に入って文子さんの右腕として経営に当たった。4年ほど前に両親の介護が必要となり、経営との両立は激務を極めた。加えて職人の高齢化も懸案だった。4人のうち2人が70代。老舗の味を長く支えた大黒柱で、代わりの人材は考えられなかった。のれんを下ろそうと心が傾き、文子さんを介護中に決断した。
 「令和は万葉集の梅の歌が由来だから、梅花の里を前面に出して店を続けてはどうか」との声もあった。だが鎌田さんは「今のままの味できちんと終わりたい」と、文子さんへの感謝の気持ちを込めて母の日を閉店日とした。
 正月や盆には帰省した人たちが土産として和菓子を買い求めた。今は「もう食べられなくなる」と大勢の客が来店する。親類への発送を頼む人も多い。
 市内の70代男性は「閉店は寂しい。東京に出張する時の土産はいつも鎌田家さんで、先方も楽しみにしていた」と振り返る。
 鎌田さんは「手間を惜しまず、季節ごとの味わいを大事にするなど、代々の教えを守り続けたから支持された」と語る。
 鎌田さんのいとこで市商工会長加藤泰彦さん(65)は「角田の代表的な銘菓を作り続け、商店街の顔だった。閉店は残念だが、お疲れさまと声を掛けたい」とねぎらう。


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2019年05月01日水曜日


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