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<それぞれのヒーローたち>好敵手の姿 気仙沼の励みに 5、6日上映

来場を呼び掛ける(左から)小泉さん、土谷さん、高梨さん、高萩さん

 36年前の全国高校軟式野球選手権大会で準優勝した福島県平工(いわき市)の選手らの奮闘と、東日本大震災後の生き方を描いた映画「それぞれのヒーローたち」が5、6の両日、宮城県気仙沼市で上映される。橋渡しをしたのは同市在住で、かつて平工と対戦した仙台商の元球児。苦難を乗り越え前を向くライバルの姿に共感し「映画が被災地から被災地へのエールになればいい」と願う。

 両校は1983年の東北大会準決勝(1回戦)で対戦。延長戦の末、3−2で平工が制した。平工は優勝し全国大会へ。エース高萩文孝さん(53)は全4試合736球を1人で投げ抜き、準優勝に貢献した。
 高校卒業後は東京電力の社員となり、現在は福島第1原発で廃棄物処理を担当。双葉町の町議も4期、務めている。映画では主人公。原発事故で誹謗(ひぼう)中傷を受け苦悩するが、野球部の仲間の知られざる思いに触れ、立ち直っていく。
 気仙沼市の運送会社社長土谷裕喜男さん(53)は仙台商の副主将だった。昨年、映画が上映されたいわき市で高萩さんと再会した。
 同点の九回裏1死満塁の好機で、高萩さんに打ち取られた土谷さん。「チームに迷惑を掛けた」と野球をやめた。その後、同じ場面を何度も夢に見た。だが「高萩さんは自分とは比べものにならないくらい震災で苦労された。映画を見て気持ちが晴れ、気仙沼で上映したいと思った」という。
 上映会場を探し、ホテル気仙沼観洋から宴会場を無償で提供された。統括本部長の小泉浩さん(57)は「土谷さんの気持ちに共鳴した」と語る。
 高萩さんは4月、気仙沼市を訪れ、土谷さんと再び会った。かつてのライバルの粋な計らいに「感無量。言葉にならない」と目頭を押さえた。
 映画をプロデュースした高梨由美さん(51)も一緒に気仙沼市へ。平工が全国準優勝した時のマネジャーで、ヒロインのモデルでもある。市内を見て「津波の痕跡がまざまざと残っていて驚いた」という。「この映画は気仙沼に呼ばれたと思った。本格復興を目指す方々の勇気と希望の種になってほしい」と望んだ。
 上映は5、6日とも午後7時半〜8時半。入場無料。連絡先はホテル観洋0226(24)1200。

[映画「それぞれのヒーローたち」]平工軟式野球部元マネジャーで日本フルーツアートデザイナー協会(東京)代表の高梨由美さんが原作、プロデュース。自らのヒーローだった部員らの奮闘を福島の子どもたちに伝えようと実話を基に製作した。いわき市で撮影、市民250人も出演。昨年11月に同市で上映し、1週間の予定が7週間のロングランに。出演は西村和彦さん、和泉妃夏さんら。
 


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2019年05月03日金曜日


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