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<石巻・日和幼稚園>慰霊の歌 天国に届け 歌手の有坂さんが碑と遺族前に熱唱

学生ボランティアに囲まれ、慰霊碑の前で歌う有坂さん(右から4人目)=4月13日午後4時ごろ

 東日本大震災で犠牲になった私立日和幼稚園(宮城県石巻市、休園中)の園児にささげる歌が生まれた。制作したのは東京都内を拠点に活動するシンガー・ソングライター有坂ちあきさん(36)。「歌をきっかけに震災のことを知る人が増えてほしい」と思いを込める。

 <あの日が最後だと分かっていたのなら あなたの小さな手を離しはしなかった>
 <澄み渡る空に届け どこかできっと笑っていて>
 石巻市門脇町の被災現場近くに園児の遺族有志が建立した慰霊碑前で4月13日、有坂さんは碑に語り掛けるように、そして遺族をいたわるように歌った。
 タイトルは「会いたくて」。歌い終え、遺族らに「涙をこらえて歌うのが大変でした」と話した。
 慰霊碑前の伝承看板の設置に関わった知人の縁で、同園に通っていた長女愛梨ちゃん=当時(6)=を亡くした佐藤美香さん(44)と知り合った。愛梨ちゃんら園児の被災現場に咲いたフランスギクの花を通じ、震災の教訓を伝える「アイリンブループロジェクト」にも感銘を受けた。
 「会いたくて」は3月の慰霊碑完成に合わせて制作した。「子どもたちのことを思って歌詞を作った。悲しい出来事を思い出させ、遺族を傷つけてしまうのではないかという葛藤もあった」と振り返る。
 有坂さんは兵庫県篠山(ささやま)市(現丹波篠山市)出身。阪神大震災を経験した。ライブなどで寄付を募り、東日本大震災の被災地支援を続ける。川崎市のコミュニティーFMで月1回、被災地を応援する番組を担当。佐藤さんに電話出演してもらい、石巻の現在を伝えている。
 花が手向けられた慰霊碑の前で佐藤さんは有坂さんの歌を聴いた。「震災から8年余りの間、(愛梨ちゃんに)会いたいという思いが募っている」と語り「歌を通して私たち親の気持ちを感じ取ってほしい」と願った。
 次女春音ちゃん=当時(6)=が犠牲になった西城江津子さん(44)は「歌詞にある『どこかできっと笑っていて』というのが一番の思い。全国で思いを伝えてくれるのはありがたい」と声を詰まらせた。
 CDは1枚500円。有坂さんが出演するイベントや路上ライブなどで販売している。活動予定はツイッターで発信している。


2019年05月04日土曜日


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