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<平成−令和・次代へつなぐ>地域挙げ良縁願う

島田飴作りに打ち込む児玉さん=宮城県大和町吉岡

◎(4)島田飴まつり(宮城・大和)/児玉金兵衛さん(46)

 宮城県大和町吉岡地区で毎年12月14日に開かれる縁結び行事「島田飴(あめ)まつり」を受け継ぐ。
 約400年前、高島田を結った花嫁を見初めて恋煩いになった吉岡八幡神社の神主に、村人が高島田に見立てた飴を食べさせたところ回復したという伝承に基づく。

●初冬の風物詩
 この島田飴を買い求めると良縁に恵まれる−。宮城を代表する初冬の風物詩だ。
 20年ほど前からまつりに関わり、伝承会の会長を務めるのが地元で商店を営む児玉金兵衛さん(46)。「長く地域で守ってきたものには力がある」と語り、新時代への思いを新たにする。
 「伝統を守るだけではなく、多くの人とシェア(共有)して磨きをかけることが必要。もっと外に発信していきたい」
 同じ旧宿場町の隣市で活動する起業塾「富谷塾」との宿場連携による活性化や、観光ツアーの招致といった構想を描く。塾に参加して地域づくりの意欲を共にする仲間を得たほか、「外国からの女性観光客向けに島田飴まつりの体験型旅行を」とアイデアコンテストで提案した宮城農高生の発想にも刺激を受けた。
 全国から大勢の人が訪れる島田飴まつりはもともと、地区の縁日といった風情のこぢんまりした行事だったという。

●何度も危機に
 島田飴を作る業者はかつて数軒あったが、徐々に減少。最後の1軒だった飴店が1994年に廃業し、存続の危機に直面したものの、町内の菓子業者が飴作りを継承した。その業者も2009年に退くと、児玉さんら住民有志が製法を教わり引き継いだ。
 しばらくすると、またしても壁に。それぞれが本業の傍ら、週末を利用して取り組む飴作りは朝早くから夜遅くまでかかった。

●30人が交代で
 これでは長続きしない。そう危惧した児玉さんに、妻が「子育てが落ち着いた人に手伝ってもらったら」と提案。5、6年前から地元の主婦らが飴作りに加わり、今は総勢約30人が交代で1シーズン2000個超の飴を作るようになった。
 母親らの参加でその子どもたちも興味を持つなど、伝統行事への関心は世代を超えて広がりつつある。
 「担い手不足でピンチに見舞われることもあったが、地域の力で乗り越えてきた」と児玉さん。「自信を持ち、みんなで楽しみながら次のステップに進みたい」と決意を語る。
 毎年10月下旬に始まる飴作り。買い求める人の良縁を願い、一つ一つ丹念に作る。ふんわりと丸みを帯び、温かみのある縁起物だ。
 真心を込めた手業の結晶が時を超えて伝わっていく。(富谷支局・藤田和彦)


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2019年05月04日土曜日


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