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<平成−令和・次代へつなぐ>奥深い魅力 気軽に

着物の着付けをする中野さん(右)。和文化の魅力を若い世代に伝える=仙台市内

 平成から令和に元号が切り替わった。移ろいゆく時の中で、東北に受け継がれた伝統や文化、技術を守り続ける人々がいる。時に大胆に、時に慎重に。地域の貴重な資産を次代へつなごうと歩みを進める。

◎(6完)着物文化(仙台)/中野由美さん(50)

 「日常生活に着物や和文化を取り入れ、その魅力を次世代に伝えたい」
 仙台市青葉区一番町の着物レンタル店「梅らぶ」を経営する中野由美さん(50)=青葉区=は和文化の楽しさを発信し続ける。

●若者向け企画 
 平成生まれの若い世代に和文化に親しんでもらおうと、2014年から同区の定禅寺通で浴衣のファッションショーや花嫁行列などを企画。予算やニーズに合わせた着物の着こなしを提案してきた。
 自身も好んで和服を着るという中野さんだが、20代半ばまでは和文化に全く興味を持てなかったという。
 「関心がないというより、好きになれなかった」。塩釜市出身。親戚付き合いや地域の風習にしがらみを感じ、息苦しさを覚えた。
 古里や日本で暮らすことに閉塞(へいそく)感が募り、25歳で単身、オーストラリアに渡った。開放的な国柄で、観光ガイドとして働いた2年間の暮らしは充実していた。
 ただ、国としての歴史が浅いことに物足りなさを感じた。気になり始めたのは、日本の伝統文化だった。

●先入観変わる 
 宮城に戻り、叔母の紹介で煎茶の家元から和文化を学ぶ機会を得た。理解が深まるにつれ「古くて近寄り難い」という和文化に対する先入観は「奥深い」という興味に変わった。
 煎茶の手伝いをしていた12年3月、一念発起して仙台市中心部に着物レンタル店の前身となる和カフェを開いた。「気軽に和を楽しむ」をモットーに、店内に着物を並べ客に無料で着付けを体験してもらった。
 着物の素晴らしさは、身に着けて初めて分かるという。無料試着は好評で、店の一角にプリント柄やリサイクルの着物など、若者でも手が届く価格の商品を販売するコーナーも設けた。
 和カフェは閉店したが、「着物に袖を通すと背筋が伸びる。その感覚を体験してほしい」との気持ちは変わらない。

●レンタル業も 
 訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加を見込み、16年から着物のレンタル業を始め、宮城県松島町にも店を構えた。近年は「外国人にとって着物を着ることはエンターテインメント。日本人ももっと楽しめる」との思いを強くしている。
 4月からは「仙台・和楽器男子」と銘打ったプロジェクトを手掛ける。東北大の邦楽部と連携し、和服姿で琴や尺八などを演奏する若い男衆の映像を、会員制交流サイト(SNS)で配信している。6月には関連イベントを開く。
 「次の世代をつくるのは若者たち。楽しむ輪の広がりが、伝統文化に新しい風を吹かせる」。未来を見据え、夢は大きく膨らむ。
(報道部・宮崎伸一)


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2019年05月06日月曜日


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