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<広域防災拠点整備>分散の岩手、機能強化着々 集中型の宮城は遅れや費用増

 東日本大震災を踏まえ、岩手県が大規模災害時に救援物資や人員を集積する広域防災拠点の機能を着々と強化している。既存施設を活用した「分散・低コスト型」で、このほど備蓄5カ年計画が完了した。防災の専門家は「訓練を重ねて拠点の有効性を高めてほしい」と助言する。
 県は2014年3月、広域防災拠点の配置計画と災害備蓄指針を策定。災害発生後3日間の避難生活に必要な物資を5エリアに分散備蓄する方針を打ち出した。
 震災級の災害での避難者を最大5万5000人と想定。個人と市町村の備蓄分を差し引き、2月までに飲料水10万9800リットル、携帯トイレ17万1000個などの配備を終えた。
 指針は19年3月に改訂され、19年度一般会計当初予算に障害者用組み立て式トイレの購入費など1120万円を盛り込んだ。県総合防災室の佐々木隆室長は「災害対応力をさらに向上させたい」と強調する。
 既存施設の活用は財政負担の軽減が目的だったが、結果的に計画策定直後の運用訓練実施を可能にした。二戸エリアでは14年に陸上自衛隊や消防機関が連携して訓練を行い、15年は広域支援拠点から避難所への物資輸送訓練に取り組んだ。
 他方「集中・大プロジェクト型」の広域防災拠点を目指す宮城県は、工期の遅れやコストの増加に直面している。
 県は仙台市宮城野区のJR貨物ターミナル駅敷地(約17.5ヘクタール)を用地買収して広域防災拠点を整備する計画だ。県内7エリアを圏域防災拠点に定め、備蓄は主に市町村が担う。
 当初20年度とした広域防災拠点の利用開始は、関係機関と協議が遅れて23年度以降にずれ込む見通し。事業費も295億円から324億円に膨れるという。
 斎藤徳美岩手大名誉教授(地域防災学)は「岩手は今、災害が発生しても各拠点が機能を発揮できる状況にある。実際に人や物を動かす実践的訓練を繰り返し、改善点の洗い出しに努めてほしい」と話す。

[岩手県の広域防災拠点]内陸に位置する遠野市が沿岸被災地の後方支援基地となった東日本大震災の経験を踏まえて整備。拠点を県内5カ所に分散配置し、盛岡・花巻エリアを全県の災害に対応する広域支援拠点、北上、遠野、二戸、葛巻の4エリアを後方支援拠点とした。各エリア内にある空港、運動場など既存29施設を活用する。


2019年05月06日月曜日


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