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唯一のGS、住民組織で守ります 高齢化による廃業防ぎライフライン確保

協議会に事業承継されたGS。会長の引地さん(左)が引き続き運営の中心を担う

 地域で給油所の減少が続く「ガソリンスタンド(GS)過疎地」が全国的に問題となる中、宮城県丸森町筆甫では、住民自治組織「筆甫地区振興連絡協議会」が地区で1軒だけのGSを運営している。経営会社の社長が自身の高齢化で廃業となるのを避けるため、協議会へ事業承継した。山間地のライフラインを地域一体で守っている。

 東北経済産業局資源・燃料課によると「住民組織のGS運営は全国的には例があるが、東北では恐らく初めて」という。
 筆甫地区の全住民でつくる協議会は昨年9月にGSの運営を始めた。元は「引地商店」社長引地弘人さん(71)が約40年前に開業したGS。ガソリンのほか、地元の建設業者などが重機に使う軽油が販売の主力。冬の灯油販売も手掛ける。引地さんと従業員3人で運営していた。
 引地さんは協議会の会長も務める。GSの後継者はおらず、一昨年、「いつまで会社を続けられるか分からない。廃業となれば客に迷惑が掛かる」と協議会へ事業承継を提案した。
 筆甫地区から町中心部までは、山あいの道を走って約10キロ。町民バスや予約型乗り合いタクシーも運行しているが、本数や時間帯、ルートなどが限られる。筆甫地区外で最も近いGSも町中心部にある。
 協議会の吉沢武志事務局長(42)は「スタンドがなければ、筆甫での生活は成り立たない」と事業を引き受けた理由を語る。
 協議会は昨年5月、住民の生活支援として、日用品や農産物などを扱う店を開業した。これに伴い組織を一般社団法人化し、GSの運営にも乗り出した。土地・建物を借り受け、従業員はそのまま雇用。引地さんもGSで業務を続ける。
 追い風もあった。筆甫地区では昨年、太陽光パネル製造大手の企業がメガソーラーの建設を始めた。協議会のGSが工事現場で使う重機用の軽油を配送販売している。引地さんは「経営安定の状態で譲り渡せた」と胸をなで下ろす。
 15年前まで1000人を超えていた筆甫地区の人口は、3月末現在で560人。高齢化率は52.3%と高い。過疎化は進むが、吉沢事務局長は「スタンドの確保で当面の安心は確保できた。暮らしのためにできることを、地域で考えて踏ん張りたい」と話している。


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2019年05月09日木曜日


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