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<仙台市議会>車いす利用者 傍聴環境に不満「議場内に席を」

議会棟に設置されたレール式昇降機に試乗する車いす利用者

 仙台市議会の議場の傍聴環境に県内の車いす利用者が不満を募らせている。傍聴席はエレベーターのない議会棟4階。車いす利用者は昇降機で階段を上がるしかないが、天井が低く安全面を不安視する。議場の入り口がある3階には、エレベーターのある市本庁舎との連絡通路があり、車いす利用者は議場内に傍聴席を設けるよう要望する。だが、議会の一部に「神聖な場に議員以外はふさわしくない」などの意見があり、改善が進む気配はない。(報道部・横川琴実)
 市議会は3月、議会棟の北側階段にレール式の昇降機を設置した。使い勝手を体験しようと、障害者団体「みやぎアピール大行動実行委員会」は9日、車いす利用者の試乗会を開いた。
 参加した5人は議会事務局職員に付き添われ、幅70センチ、奥行き120センチの台座に電動車いすごと乗車し、約2分かけて3階から4階へ移動した。上りは後ろ向き、下りは前向きに進む。
 試乗会後、自身も車いす利用者の及川智事務局長は「座高の高い人や大きい車いすの場合は、天井に頭がぶつかりそうだった。車いすの形によっては、転落防止バーを簡単に下ろせず不便もあった」と批評した。
 実行委は2016年以降、議場と同じフロアに車いす利用者の傍聴席を設けるよう、議会側に何度も申し入れてきた。しかし、議会側が出した結論は、従来のベルト式昇降機の使用に加え、新たにレール式を設置することだった。
 車いす利用者は「当事者の意見も聞かず、昇降機設置が最善と決めたことが不満。議場内に傍聴席をつくる方が費用も安く抑えられたはず」と首をかしげる。
 全国には議場内に傍聴席を設ける議会が複数ある。北海道三笠市議会は車いす専用、東京・新宿区議会は全傍聴者の利用を認める。
 だが、仙台市議会は現時点では及び腰だ。ベテラン議員は「議案を審議する重要な場。傍聴者の声や音で妨げられては困る」と主張する。議会事務局も「議場閉鎖して審議する場合の対応が難しい」と説明する。
 議会棟は1965年建設で築50年を越える。市本庁舎と共に約8年後の建て替えが決まっており、傍聴環境の抜本的な改善に着手しにくい事情も抱える。
 斎藤範夫議長は「車いす利用者の要望に完全に応えられてはいないが、現時点で最善の策を講じたと思っている」と理解を求める。


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2019年05月10日金曜日


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