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<通年サンマ漁>不安な船出 公海操業今月スタート 東北の漁業者「秋の味覚受け入れられるのか」

昨年8月に女川魚市場に初水揚げされたサンマ。今年は3カ月前倒しで漁が始まる

 サンマ漁の通年操業を可能にする省令改正に伴い、北太平洋公海での操業が今月、スタートする。ここ数年深刻な不漁が続くサンマの安定供給とサンマ漁業の存続を図る狙いがある。従来の漁期(8〜12月)を前倒しした漁の漁獲量や品質、旬の時期の魚価への影響は不透明で漁業者にとって不安な船出となりそうだ。
 省令改正を受け、全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は1日〜7月20日を操業期間に自主設定した。宮城、岩手両県や北海道などの少なくとも計18隻が出漁する予定。漁獲したサンマは洋上でロシアの加工母船に販売され、一部は日本国内に水揚げされる。
 初の本格操業となる公海サンマ漁には慎重な見方が根強い。全さんまは「利益になるとは限らず、様子見の漁業者が多い」と話す。
 大船渡市の水産加工会社社長は「サンマと言えば秋。消費者に受け入れられるのか」と困惑。魚市場に水揚げされても今年は購入しない考えだ。
 魚市場の対応はさまざまだ。全国有数の水揚げを誇る女川魚市場(宮城県女川町)は当面、公海サンマの受け入れを見合わせる。
 同市場の木村仁部長は「この時期のサンマを小売店や加工業者がどう流通させるのか想像がつかない。本漁期の価格形成への影響も心配だ」と懸念。同市場買受人協同組合の高橋孝信理事長も「女川ブランドを守るには質の良い魚でないと扱えない」と話す。
 気仙沼は200〜300トン、大船渡は250トンほど受け入れる構えだが「大きさも鮮度も不明。旬も分からなくなってしまわないか」(大船渡)と気をもむ。
 通年操業は雇用確保の側面もある。今野水産(石巻市)は15日、第1栄久丸(198トン)を出漁させる。サンマの漁期以外の雇用はここ数年の課題だった。
 マグロ漁が200カイリ規制で縮小されたほか、ロシアの排他的経済水域でのサケ・マス流し網漁が2016年に禁止になった。
 乗組員の多くがアルバイトなどで生計を立てており、同社の担当者は「このままでは乗組員減少に歯止めがかからず、サンマ漁の将来が危ぶまれる」と言う。
 18年に全さんまが公海で行った試験操業には今野水産を含む10隻が参加し約8700トンを漁獲。うち約100トンが国内で流通した。
 水産庁によると、サンマは数年前から群れが従来より早い時期に形成されるようになり、脂が乗った時期に日本近海に近寄らない状況が続いている。


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2019年05月15日水曜日


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