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<君と甲子園へ>球児を支える(上)第二の指揮官 データ処理仲間に力

須江監督(右)の隣でスコアを付けながら、選手たちを鼓舞する渡辺マネジャー(手前)=3日、仙台市民球場

◎仙台育英・渡辺大器マネジャー

 甲子園を目指して白球を追い掛ける高校球児を陰で支える人たちがいる。勝利のために裏方に徹する部員、一打を期待して声をからす応援団。18日に始まる春季東北地区県大会を前に、その思いに迫る。(スポーツ部・今愛理香)

<悩み抜いて決断>
 仙台育英の須江航監督は徹底したデータ主義で知られる。部員102人の成績を細かく数値化し、それを基にベンチ入りメンバー20人を選び出す。膨大なデータを一人でまとめているのが、3年の渡辺大器マネジャーだ。
 4月にあった春の中部地区大会。渡辺マネジャーはベンチに入り、全試合のスコアを付けた。「エースや4番と同じくらい貴重な存在」(須江監督)が、データ野球を支えている。
 系列の秀光中教校出身。仙台育英に進んでからも、内野手としてレギュラーを目指していた。
 転機となったのは1年の秋。チームは各学年から1人、マネジャーを出すことになっている。他薦で名前が挙がった。
 「野球をやるために育英に来たのに」。最初は当然断った。それでも適任者が現れない。誰がマネジャーをやるのか。半年間、部員だけのミーティングが続いた。
 「あの半年間は野球をしてても楽しくなかった」。ボールを追ってもマネジャー問題が頭を離れない。部を辞めようとすら考えた。
 「このままでは誰一人、思い切り野球を楽しめない」。バットを置くことを決めたのは2年に進級した頃だ。「みんなを野球に集中させたい」。仲間を支える道を選んだ。
<入力項目 多岐に>
 部活は朝5時、早朝練習のためにグラウンドの門を開けるところから始まる。球音が響き始めると、渡辺は室内に戻ってパソコンに向かう。
 処理する項目は多岐にわたる。本塁から一塁へ駆け抜けるタイム、本塁から二塁への送球スピード、週末に行った練習試合の打率や投手成績などを表計算ソフトで入力する。土、日曜は練習試合が続く。夜に入力作業をするが、終わらないときは授業の休み時間も使うこともある。
 渡辺を誰よりも理解しているのは、中学時代の指導者でもあった須江監督だ。「みんなのためにやってあげてるという感じを一切出さない。戦略やメンバーを決める上で彼は欠かせないし、チームの心臓だ」。絶大な信頼を寄せる。
 渡辺はもう覚悟を決めた。「プレーしたい気持ちは心にしまいました」。ボールをマウスに持ち替えて、チームの勝利を支えている。


2019年05月16日木曜日


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