宮城のニュース

<手倉森浩の蹴球浩論>布陣変更 手応えあり

 不振にあえぐ仙台にとって、12日のホーム広島戦は今後の巻き返しに向けて弾みがつきそうな試合だった。選手が球際でひるまず激しく当たりに行き、終盤の2ゴールで逆転勝ち。広島が序盤に先制してから引いて守った面はあるが、やりたいことを表現できた。今季で一番戦えた試合を物にできて良かった。

<安定感増す守備>
 「4−4−2」への布陣変更の効果が出ている。4月24日のYBCルヴァン・カップ1次リーグB組第4節の鳥栖戦で採用して以来、公式戦は2勝2分け1敗と好調。基本布陣の「3−4−3」に比べて守備が安定した。ゴール前の守備マークが明確になり、4バックが相手に背後のスペースを与えなくなった。
 特に金正也と常田の両センターバックが効いている。3バックだと両サイドのスペースをケアしようとして相手につり出されることもあったが、2人が自信を持って真ん中で構えることで持ち味である対人プレーの強さを生かせている。
 両サイドも活性化した。「3−4−3」の場合、盛んに攻撃参加もする両ウイングバックは守備の意識が薄くなりがちだが、最終ラインを形成する両サイドバックは「まずは守備ありき」と素早く帰陣しようとするので守備が安定する。攻撃でも2列目の両サイドハーフと連係して数的優位をつくれるし、相手の守備が固まらないうちにゴール前へのアーリークロスを出しやすくなる。
 とはいえ、まだ本物じゃない。布陣変更からまだ時間がたっていないためか、広島戦では選手がおっかなびっくりプレーしているように見えた。ここぞの場面でパスミスから自滅するパターンが目立つ。3日のアウェー川崎戦でも不用意なパスを奪われて失点につながって敗れた。
 特にジャーメインはもったいない。6戦連続で先発して2トップの一角を担いながら、ここ5戦はゴールから遠ざかっている。いずれも決定機をシュートミスなどで逃した。しっかり周囲を見て最良のプレーを判断してほしい。ボールを奪ったりコントロールしたりできる良さをさらに出せるはずだ。

<敵地で初白星を>
 巻き返しに向け、鍵を握る選手はハモンロペス。広島戦でも2得点に絡んだ。体の強さを生かして前線でボールを収めることが多くできれば、ジャーメインや2列目の吉尾、石原崇がゴール前に潜り込んで分厚い攻撃が展開できる。
 出番が減っているが、エース石原直も2トップでがんがんやれる選手。公式戦4得点の長沢もこんなものじゃない。あまり守備に走らせず、空中戦の強さなどの良さを周囲の選手が生かしてほしい。
 課題はあるが、布陣変更は成功だったと思う。スタッフと選手が問題意識を共有して同じ方向を向けているから大きな混乱なく移行できた。チーム内の信頼関係のたまものであり、踏み切った渡辺監督は指揮官として素晴らしい。次節の18日の磐田戦から2戦連続で開幕5連敗中のアウェーの戦いとなる。堅く守って敵地で初白星を挙げれば、さらに勢いが増すはずだ。(日本サッカー協会東北地域統括ユースダイレクター)


2019年05月17日金曜日


先頭に戻る