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<青森知事選>複雑な心情に届く主張を 既成事実前に消極的選択

櫛引素夫・青森大教授

◎櫛引素夫・青森大教授に聞く

 青森県知事選は、現職に核燃料サイクル反対を訴える新人が挑む構図でほぼ固まった。選挙戦で原子力政策の議論が熱を帯びない背景について、元新聞記者で青森県政に詳しい青森大の櫛引素夫教授(56)=メディア論=に聞いた。

 −現職に核燃反対派が挑む構図が続いている。
 「人口減少が進む中で、特に青森県の雇用、産業政策を巡り、県政レベルで多様な選択軸を提示しづらい状態にあるように見える。原子力産業への賛否を除くと、国の制度や補助金に左右されない施策を示すことが難しい」
 「反核燃は野党勢力が長い間よりどころにしてきた結集軸でもある。無投票を避けようと思えば、半ば必然的に反核燃が最大の焦点になる」
 −核燃サイクルの議論が盛り上がらない。
 「県税に占める核燃税の割合が1割を超え、県民は積み上がった既成事実の前に『なすすべがない』と感じ、消極的な消去法で選択を重ねているのかもしれない。賛否を問う過程で、原子力に依存しない経済政策とは何か、丹念に議論を重ねる取り組みが鍵になる」
 −どう訴えるべきか。
 「既に使用済み核燃料やガラス固化体が蓄積している青森県で県民の立ち位置は複雑だ。『最終処分地にしない』という確約をどう実行していくのか。県の置かれた立場や複雑な心情に踏み込まない主張は、推進、反対を問わず県民の心に届きにくい」
 −投票率の低下が懸念される。
 「野党や非自民勢力にだけ、選択肢限定の原因と責任を求めるのは違和感がある。政党や政治勢力の責任の一つは、一人でも多くの有権者を『当事者化』し、政策の形成や決定、実現のサイクルに参画させることだ。その営みの再構築に希望を見いだすしかない」


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2019年05月15日水曜日


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