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<宮城・涌谷町長選>国保病院、財政を圧迫 赤字穴埋め年6億円超す

厳しい運営の続く涌谷町国保病院

 財政非常事態宣言が1月に出された涌谷町は、4月に現職町長が急死し、トップが不在になるなど、町政の混乱が続いている。農業を基幹とする人口1万6000人の町は平成の大合併で単独立町を選んだ。立て直しが急務とされる町財政を、住民の健康を守る町国保病院への支出が圧迫する。
 少子高齢化の進行で、自主財源は減り、社会保障費は増える一方。町はこの悪循環によって2021年度に町財政が赤字になると試算した。大橋信夫前町長は生前「(実質的な赤字経営の続く)町国保病院の負担が年々増えている」と要因を口にしていた。
 町国保病院は恒常的に医師不足に悩み、ベッド稼働率は7割超と目標の9割に届かない。一般会計から病院への年間繰り出し額は、15年度以降ずっと4億円を超え、18年度は6億円に膨れ上がった。町の標準財政規模約50億円の1割以上に当たる額に上っている。
 民間への業務委託や規模縮小、リハビリや介護などの療養部門への特化などを模索するが、打開策は見つからない。病院存続を望む声は根強いが、ある町幹部は「小さな自治体で今後も運営していけるのか不安だ」と漏らす。
 平成の大合併の際、町は旧小牛田、南郷両町との合併議論を進めたが、最終的に合併しない道を選んだ。町内には、合併していれば病院経営の苦境は緩和されたのではないかとの声もくすぶる。当時の合併協議会事務局関係者は「旧南郷町の南郷病院(現美里町)と診療科の分担や医師の交流などができたかもしれない」と話す。
 大橋前町長は、玄米食専用品種「金のいぶき」のブランド化や、黄金山地区への工業団地建設による企業誘致などの産業活性化策に力を入れ、活路を見いだそうとしていた。
 しかし、金のいぶきの生産量はまだ目標の4割にとどまり、工業団地への進出企業は1社のみだ。町内で会社を経営する男性は「産業を盛り上げるにも、町の財政が安定しない限り絵に描いた餅になる」と不安を口にした。

 大橋前町長の死去に伴う涌谷町長選は21日告示される。ともに無所属で元町長の安部周治氏(71)と新人で元町議会議長の遠藤釈雄(とくお)氏(68)の2人が立候補を表明。投票は26日に行われ、即日開票される。


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2019年05月19日日曜日


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