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<原発ADR打ち切り訴訟>原告「町が失ったもの賠償を」

 福島県浪江町民109人が東京電力と国に原発事故の損害賠償を求めた訴訟が福島地裁で始まった。和解仲介手続き(ADR)の和解案を東電が拒否したことに端を発する全国初の集団訴訟。訴訟の行方は各地の集団ADRにも影響を与える可能性がある。
 20日は町民2人の意見陳述があった。無職鶴島孝子さん(60)は「原発事故は町の自然や文化、歴史など全てを奪った。失ったものに対する適切な賠償を望む」と語った。
 原告団長の無職鈴木正一さん(68)は東電がADRの和解案を尊重すると表明していたことを指摘し「東電は自分でした約束、誓いを破った。許せない暴挙だ」と訴えた。
 ADRは早期救済が長所だが、東電が「一律での検討は公平さに欠ける」として和解案の受諾を拒否するケースが相次ぐ。2018年に打ち切られた協議は49件。15〜17年は1桁で推移していた。
 浜野泰嘉弁護団長は「和解拒否を続けて逃げ切れるなら、ADR制度は瓦解(がかい)する。裁判で責任の所在と適切な賠償額を追及していく」と述べた。
 ADRには町民の7割超が参加したが、提訴は1割以下の1500〜2000人にとどまる見通し。訴訟はADRに比べ費用と時間がかかるため、敬遠する声が多いという。


2019年05月21日火曜日


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