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釜石の旅館「宝来館」常識覆す週休2日導入 従業員の健康維持、士気高める狙い

休業日の導入で休みが取りやすくなった宝来館の調理場

 岩手県釜石市の有名旅館「宝来館」が、働き方改革として、原則として毎週2日連続して休業する営業スタイルを導入している。従業員の健康を維持し、士気を高めるのが狙い。宿泊業の常識を覆す試みは「休みの予定が立てられる」「能力を磨く時間に使いたい」と好評で、結果的にサービス向上にもつながっている。
 創業は1963年。東日本大震災で建物2階まで津波が押し寄せた。作業員などを受け入れるために2011年冬に営業を始め、15年に正式に再オープンした。
 休業日は3月中旬に導入した。法事客の利用が少ない平日の友引を含んで2連休とする。初日は午後から休み、休み明けは午後からの営業となる。繁忙期以外は毎週休むように努める。差し当たり4〜12月の9カ月間で計50日の休業を設定した。
 宝来館によると、岩手県内で定期的に週休2日で営業する宿泊施設は他に確認できないという。
 宝来館は客室19室で従業員はパートを含めて25〜30人。これまでは年中無休で、1人当たりの休みは閑散期でも月6日程度だった。調理場など専門性の高い部署は、特に休むのが難しかった。
 「このままでは若い人材が働き場所に選んでくれない」と、おかみの岩崎昭子さん(62)。売り上げ減への懸念や宿泊施設の責任を果たせるのかという葛藤もあったが、旅館業を発展させるため踏み切った。
 1人当たりの休みは4月以降、月8日前後に増えた。調理担当の北田秀人さん(23)は「趣味を楽しんだり、新しい料理を試してみたり、いろいろできる」と語る。
 「昔はめったに休めなかった」と振り返る料理長藤原政一さん(71)も「体が楽になった。若い人も英気を養っているようだ」と歓迎する。
 従業員全員での研修や館内点検が容易になったのも休業日導入の利点だ。今後は売り上げへの影響や光熱費、パート人件費削減の効果を検証し、より効率的な休業日の設定を検討するという。


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2019年05月23日木曜日


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