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<名取・閖上まちびらきに思う>(中)閖上中央町内会長 長沼俊幸さん(56)/心の距離近い地区へ

被災地を訪れた大学生にまちびらきを紹介する長沼さん。「感謝の気持ちを伝えたい」と話す

 宮城県名取市閖上地区のまちびらきで、現地再建した住民と来場者の交流の場となるのが閖上中央集会所だ。「被災者と支援者の関係に区切りを付け、ステップアップしたい」。運営を担う閖上中央町内会長の長沼俊幸さん(56)は力を込める。

<付き合い対等に>
 当日は全国から訪れるボランティアらと共に楽しもうと、復興支援で縁を結んだバンドなどがステージに立つ。住民は感謝の思いを込めたメッセージを掲示し、来場者から寄せ書きを集める。郷土料理も準備し、おもてなしに余念がない。
 「震災から8年数カ月で培った全国の皆さんとのつながりは一生もの。これからは友だちや親戚のような感覚で付き合いたい」。長沼さんは、そう願う。
 しかし、気掛かりもある。閖上中央町内会の約200世帯のうち、多くがここ1年ほどで引っ越してきたといい、「住民の気持ちがまちびらきに追い付いていない」と表情を曇らせる。
 近所のあちこちで工事のつち音が響き、日々の生活に欠かせないスーパーや医療・福祉施設などはまだない。町内会は3月に発足したばかりで、コミュニティーづくりはこれからだ。
 長沼さんも津波で自宅が流され、6年余りの仮設住宅暮らしを経て2017年7月、生まれ育った閖上に再建した。「動きが目まぐるしく、やれやれと思う暇がない」とため息をつく。

<スタートライン>
 町内会長に就任し、仮設時代とは違う難しさを痛感している。「仮設生活が長すぎたため、昔の閖上より仮設時代のつながりの方が強い。みなし仮設だった人はぽつんとなってしまう」。住民の間にある溝を埋めようと、親睦に腐心する。
 「近所の人と気軽にお茶を飲める生活が戻って、やっと閖上が復興したと思える。これからのまちづくりを見てほしい」。まちびらきは新たなスタートラインとなる。


2019年05月24日金曜日


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