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<寺山修司>中学卒業時に同級の女性に短歌贈る

寺山が大柳さんに宛てた短歌。文字の配置などデザインにも工夫がうかがえる
サイン帳を手にする大柳さん。手前は一緒に見つかった文集2冊=青森市
寺山修司(てらやま・しゅうじ) 1935年、弘前市生まれ。青森高在学時に全国学生俳句会議を設立し、10代の俳句雑誌「牧羊神」を創刊するなど才能を発揮。早稲田大に進学し、歌人として中央歌壇にデビュー。67年に演劇実験室「天井桟敷」を結成し、劇作家や映画監督、競馬評論など多方面で活躍した。83年死去。

「毬のごと打てば跳ねくる心もて 幸を求めん山のかなた江」

 青森県弘前市出身で演劇や文学など多彩な分野で活躍した寺山修司が中学卒業時、同級生の女性に宛てて書いた短歌が見つかった。青森市内の女性宅で眠っていた貴重な資料で、研究者らから「寺山の創作の原点」と驚きと喜びの声が上がった。

 未発表の短歌は<毬のごと打てば跳ねくる心もて幸を求めん山のかなた江>。旧青森市野脇中で寺山のクラスメートだった大柳マルさん(83)=青森市奥野=の自宅で見つかった。
 昨年秋、青森高時代の同級生から「中学の文集を持っていたら貸してほしい」と頼まれ、家じゅうを探したのがきっかけ。短歌は、今年2月に押し入れのトランクケースから見つけた、はがき大のサイン帳に書かれていた。寺山の中学時代の作品が載る学級文集2冊もあった。
 冒頭の「毬(まり)」は大柳さんの名前の「マル」にかけてあり、友人への親しみの情がにじむ。大柳さんは「クラスの自治会で寺山君と議論したのを覚えている。『打てば跳ねくる』は気が強くて活発な私の性格を詠んだのかも」とほほ笑む。
 「編集少年 寺山修司」の著者で元大学教授(国文学)の久慈きみ代さん(71)=青森市茶屋町=は「言葉を転がしながら作品を作る寺山の創作の原理がよく分かる」と評価。前半は「♪てんてんてんまり」の歌詞で知られる童謡「鞠(まり)と殿様」を連想させ、後半はドイツの作家カール・ブッセの詩「山のあなた」を引用しているという。
 「まりのように打てば飛び跳ねる、躍動感のある心を持って幸を求めて山のかなたへ飛んでいこう」という意の歌に、久慈さんは「希望を共有し合う喜びにあふれた歌だ」と語った。


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2019年05月24日金曜日


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