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<名取・閖上まちびらきに思う>(下)県漁協仙南支所・閖上運営委員長 出雲浩行さん(54)/大漁祈願し挑戦続く

パレードで使う大漁旗を確かめる出雲さん=名取市閖上の県漁協仙南支所・閖上事務所

 「日本一のアカガイ」で知られる名取市閖上の浜から大漁旗をなびかせた漁船が出港し、港町の心意気を示す。東日本大震災前の名取夏まつりで恒例行事だった大漁船パレードが、26日のまちびらきで9年ぶりに復活する。

<12隻でパレード>
 参加12隻の先陣を切るのは、県漁協仙南支所・閖上運営委員長の出雲浩行さん(54)だ。貝毒によるアカガイの出荷自主規制が続き「シュンとなっている」と落ち込む一方、「景気づけに、と考えているやつもいる」と準備を進める。
 閖上漁港は津波で壊滅的な被害を受けた。組合員4人を亡くし、漁船と釣り船計100隻を失った。出雲さんは「俺なんか死んでもおかしくなかった」と振り返る。
 「海の方で雲みたいに煙が湧き上がり、電信柱がどんどん倒れるのが見えた」。両親と車で逃げ、旧閖上中に滑り込んだ時には膝まで津波が押し寄せていた。
 「生かされたんだから、何かやらないといけない」。浜の先頭に立ち、漁の再開や仮設魚市場の建設などに奔走した。自らの新造船が入港したのは、震災の約2年10カ月後だった。

<旗の寄贈で発奮>
 パレードで掲げる大漁旗は、市と姉妹都市の和歌山県新宮市の有志から贈られた思い出の品。名取市観光協会副会長だった縁で震災前から交流があり、新造祝いに受け取った。「頑張るしかない」と奮い立ったのを覚えている。
 近年はアカガイの漁獲量減少に加え、貝毒が頻発し、漁師を苦しめる。
 「自然が相手では何もできない。つらいところだ」。それでも2017年7月にシラス漁を本格操業し、18年度にワカメ養殖試験を始めるなど挑戦を続ける。
 大漁船パレードは大漁祈願の祭りでもあった。「貝毒が早くなくなるように。神頼みだね」。切実な思いも乗せ、漁船は港を出る。


2019年05月25日土曜日


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