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歩行者安全確保に「ハンプ」有効 自動車減速促す路面のこぶ、池袋や大津の事故を機に再評価

車道の赤い部分がハンプ。車の減速を促す効果がある=宮城県加美町(画像の一部を加工しています)
車の減速を促す効果が高いハンプ=宮城県加美町(画像の一部を加工しています)

 東京・池袋や大津市で子どもを含む多数の歩行者が巻き込まれる交通事故が相次ぐ中、歩行者の安全確保策に対する関心が高まっている。自動車の減速を促す「ハンプ」と呼ばれる路面のこぶもその一つ。1980年代に整備された宮城県加美町で、効用と地域の受け止めを探った。(加美支局・佐藤理史)

 町でハンプが整備されているのは中新田小(児童418人)の周辺。80年代、学校を取り囲む町道約1.2キロに町が約20カ所に設けた。こぶの高さは20センチ前後あり、十分に減速しない車両は突き上げられるような衝撃を受ける。
 歩行者と車の衝突事故では、時速30キロを超えると致死率が急激に上がるとされる。校門近くで毎朝、児童を見守る阿部陽介校長は「ほぼ全ての車が減速してくれる。子どもの安全を守る立場からは、大変ありがたい」と話す。周辺では約35年にわたり重大事故が起きていないという。
 町内では宮崎地区にもハンプが整備されている。歩行者には好意的に受け止められても、ドライバーの評判は芳しくはない。地元からは「ブレーキを踏む回数が多いためか、アクセルと踏み間違えた人を見た」などと撤去を求める声も上がっている。
 多くの交通事故は速度抑制で最悪の事態を防ぐことが可能だ。県警加美署交通課は「運転したくないと思わせて、別の道を走ってもらうのもハンプの効用の一つ。歩行者優先の思想を改めて理解してもらうことが重要だ」と強調する。
 除雪作業の妨げになる可能性もあって東北で設置可能な地域は限られるとされるものの、国もハンプによる歩行者の安全確保に力を注ぐ。
 国土交通省は2016年、旧来のかまぼこ形に代わり、台形の技術基準を提示。周囲への騒音と震動を抑え、減速した場合はドライバーの不快感も軽減するように配慮している。ハンプを試行的に設置するための費用の一部を補助したり、地域住民の合意形成を後押ししたりしている。
 埼玉大大学院の久保田尚教授(都市交通計画)は「一部の運転手らのクレームを嫌い、道路管理者がハンプ導入に必ずしも積極的でなかった。新たなハンプは高齢者の運転にも全く支障がないので普及が加速するだろう」と予測する。


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2019年05月25日土曜日


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