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<登米市贈収賄>衆人環視の事業、漏えい見抜けず

新築工事の入札を巡り贈収賄事件に発展した迫児童館=登米市迫町佐沼

 登米市発注工事を巡る贈収賄事件で、舞台となった迫児童館新築工事は、2018年2月にあった入札の約1年前から「工事金額が高すぎる」などの指摘を市議会から受け、議員が注視していたいわく付きの事業だった。加重収賄などの容疑で逮捕された元建設部営繕課長の小野寺友生容疑者(56)は、衆人環視の工事で入札情報を漏らす大胆な行動に出たことになる。不正を見抜けなかった市職員や市議会関係者からは、驚きと落胆の声が上がっている。(登米支局・小島直広)

<異例の付帯決議>
 「課長と業者が一緒にいるのを見たことも聞いたこともなかった。つながりが全く想像できない」「疑わしい行動やそぶりは一切見られなかった」
 15年度から営繕課長を3年務めた小野寺容疑者を知る当時の職員はこう口をそろえる。当時の部長も「勤務態度は極めて真面目。こつこつと仕事をし部下の信頼も厚かった。信じられない」と肩を落とす。
 市総合計画では、迫児童館新築工事の事業費は当初約5億円の想定だったが、17年度予算では8億1750万円に膨らんだ。
 天井が必要以上に高く、登米市産杉の高価な建材を大量に使う予定だったため、一部市議が問題視し「事業費の抑制に最大限努めることを強く求める」との異例の付帯決議で予算が可決された。
 17年5月に熊谷盛広市長が工事費縮減を指示。設計をやり直して事業費を3割強縮減し約5億円とした。「近年あれだけ議会から注目された工事もない」。ある市職員はそう振り返る。

<突然の「参入劇」>
 この建築工事を18年2月の入札で最低制限価格と同額の2億7402万3000円でセルコホーム(仙台市)が落札。市内業者を差し置いての参入だったこともあり、議会は大騒ぎとなった。工事請負契約の議決は保留となり委員会が調査したが、結果的に情報漏れの事実は確認できないまま請負契約は可決された。
 小野寺容疑者はこの時の市の聴取に対し「情報を漏らしたことはありません」と回答している。
 及川昌憲議長は「億単位の建築工事で最低制限価格とぴったり同額というのはやはりおかしいと感じた。可能な限り調査したが、証拠がなかったため、あれ以上工事を止めることもできなかった」と振り返る。
 熊谷市長は「業者の積算精度が向上した結果だと思った。職員が情報を漏らしていたことを見抜けなかったことはじくじたる思いだ」と反省する。

[登米市迫児童館]市迫町の佐沼小に隣接し、木造平屋(床面積1350平方メートル)の建物に、児童クラブ室5室や遊戯室、創作活動室、集会室、図書室などがある。敷地面積3443平方メートル。総事業費約4億8700万円。児童クラブ定員は150人。


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2019年05月26日日曜日


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