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<名取・閖上まちびらき>あなた思い、未来開く 多彩な催しで活気

まちびらきに合わせ、みこしを担いで練り歩いた「お浜降り」=名取市閖上の「かわまちてらす閖上」
竹灯籠を前に黙とうする参加者

 東日本大震災の津波被害を受けた宮城県名取市閖上地区で26日あった「まちびらき」は、閖上公民館前広場を主会場に9会場で多彩なイベントが繰り広げられ、震災から復興しつつある閖上のいまをPRした。

 目玉は市内陸部の熊野那智神社が21年ぶりに執り行った神事「お浜降り」。みこしが高舘、増田両地区を経て閖上を練り歩いた。みこしを担いだ閖上出身の岩佐新一さん(62)=名取市=は「閖上の人に喜んでもらえたのが一番。皆の力で盛り上げたい」と話した。
 開会式では来場者が風船を一斉に空に飛ばし、まちびらきを祝った。閖上漁港では「大漁船パレード」が9年ぶりに復活し、漁船12隻が大漁旗を掲げて出港。4月開業の商業施設「かわまちてらす閖上」などでは地元グルメや特産品を求める来客でにぎわった。

祈念公園開園犠牲者を追悼

 名取市が閖上地区に整備していた震災メモリアル公園が開園した。大勢の来園者が慰霊碑を訪れ、犠牲者を追悼した。
 公園はゆりあげ港朝市北側の3.35ヘクタールで、総事業費は約3億円。犠牲者の鎮魂とともに、震災の記憶を後世に語り継ぐ場として「祈り」「遺構と伝承」など五つのエリアを整備した。
 祈りの広場には、津波の高さを示す8.4メートルの慰霊碑を中心に、犠牲者960人の名前を刻んだ芳名板と献花台を設けた。天皇、皇后両陛下が閖上への思いを詠まれた歌碑も建立した。
 日和山の周辺では、震災がれきを再利用した舗装材で被災前の閖上の地形を表現。閖上大橋南側の五差路に架かっていた歩道橋のフレームや、旧商店街にあった街路灯も展示した。市震災復興部の小畑和弥次長は「昔の閖上に思いをはせてほしい」と話した。

◎「復興達成宣言」年度末にも/山田市長一問一答

 山田司郎名取市長は開会式の終了後、報道各社の取材に応じた。一問一答は次の通り。

 −津波で壊滅的な被害を受けた閖上がまちびらきを迎えた。心境は。

 「信じられない気持ちだ。全国からの支援と被災者の頑張りに感謝したい。復興のハード事業が大枠でスケジュール通りに進んだ」

 −復興の過程で、まちびらきはどんな位置付けか。

 「これまで全国から支援を頂き、一緒に街を再興してきた。まちびらきを境に、閖上の住民が主体となって地域をつくっていくターニングポイントになる」

 −閖上復興は住民の合意形成などが難航し、着手が遅れた。影響をどう見る。

 「現地再建か否かという議論があり、確かに時間はかかった。だが、いろいろな人がいろいろな考えをぶつけ合ったからこそ、今の閖上がある。どれが正解だったということはない」

 −今後、復興をどう進めるか。

 「閖上の児童センターや多目的広場などハード事業をおおむね仕上げ、来年3月末に『復興達成宣言』を出したい。定住促進と交流人口拡大、企業誘致に取り組む。ソフト面では被災者の心のケアやコミュニティー形成などが課題だ」

◎竹灯籠400本、鎮魂の祈り 神戸のボランティア設置

 名取市閖上地区の「まちびらき」に合わせ、阪神・淡路大震災の復興支援を続ける神戸市のボランティア組織が慰霊の竹灯籠を並べた。
 「ひょうごボランタリープラザ」による53回目の被災地支援。慰霊碑近くの広場で市民団体「神戸・心絆(ここな)」のメンバー約30人が、400本の竹灯籠で「ゆりあげ」の文字を作った。神戸市にある「1.17希望の灯(あか)り」の分灯を使ってろうそくに点火し、震災が起きた午後2時46分にその場の全員で黙とうした。
 プラザでは3月11日とお盆に、名取市内で震災犠牲者を悼む竹灯籠を続けている。高橋守雄所長は「大震災を経験した地域が力を合わせ、風化を防ぎたい」と話した。
 心絆の山川泰宏会長は「まちづくりはここからが本番のはず。全国が応援している」と呼び掛けた。


2019年05月27日月曜日


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