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<旧優生保護法国賠訴訟>仙台地裁判決要旨

 旧優生保護法を巡る国家賠償請求訴訟で、28日の仙台地裁判決の要旨は次の通り。
 【幸福追求権】
 憲法13条は国民一人一人が幸福を追求し、その生きがいが最大限尊重されることで、人格的に生存できることを保障している。子を産み育てるかどうかを意思決定する権利(リプロダクティブ権)は、幸福の源泉となり得、人格的生存の根源に関わるものであり、憲法上保障される個人の基本的権利だ。
 旧優生保護法に基づく不妊手術は、不合理な理由で子を望む者の幸福を一方的に奪い去り、個人の尊厳を踏みにじる。誠に悲惨というほかない。憲法に違反し、無効だ。
 手術を受けた者は国家賠償法に基づき賠償を求めることができる。もっとも、手術から20年経過している場合は除斥期間の規定で賠償請求権は消滅するため、特別の規定が設けられない限り、請求権を行使できない。
 手術を受けた者は生きがいを失い、生涯にわたり救いなく心身共に苦痛を被り続ける。権利侵害の程度は極めて甚大で、憲法13条に照らし、損害賠償請求権を行使する機会を確保する必要性は極めて高い。
 【賠償請求権】
 手術は、不良な子孫の出生防止という優生思想により、法の名の下で全国的に行われた。法の存在自体が賠償請求権行使の機会を妨げた。障害者差別として1996年に改正されるまで長年存続したため、優生思想は社会に根強く残った。
 日本ではリプロダクティブ権を巡る法的議論の蓄積が少なく、旧優生保護法の規定や立法不作為について、違憲の問題が生ずるとの司法判断もされてこなかった。本人が手術を裏付ける客観的証拠を入手することも困難だった。手術から20年が経過する前に賠償請求権を行使するのは現実的に困難だった。従って、権利行使の機会を確保するために立法措置は必要不可欠だった。
 【立法不作為】
 具体的な賠償制度の構築は第一次的には国会の裁量に委ねられている。前記のように議論の蓄積が少なく、司法判断がなかった事情の下では、少なくとも現時点で、立法措置が必要不可欠であることが国会にとって明白だとはいえない。立法不作為は国家賠償法上、違法との評価を受けない。
 【除斥期間】
 除斥期間は、不法行為を巡る法律関係の速やかな確定を図るため、請求権の存続期間を画一的に定めたものだ。立法目的は正当で、期間も20年と長期。合理性、必要性もあり、適用することは憲法17条に反しない。
 【付言】
 根強く残っていた優生思想が正しく克服され、何人も差別なく幸福を追求でき、一人一人の生きがいが真に尊重される社会となり得るよう、最後に付言する。


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2019年05月29日水曜日


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