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<陸前高田市>民泊修学旅行が大人気 前年度の3倍に 受け入れ家庭の拡充急務

生徒たちに自宅で震災発生当時の避難経験を伝える村上洋子さん

 東日本大震災で被災した陸前高田市を民泊修学旅行で訪れる中高生が増えている。市民と触れ合いながら震災体験や生き方を学んでもらう取り組みは2016年度に始まり、本年度は前年度の3倍に達する見通しだ。一方で受け入れ家庭の拡充が急務になっている。
 村上金吾さん(62)、洋子さん(61)夫妻は14〜16日、神奈川県横須賀市浦賀中の3年生5人を受け入れた。震災の犠牲者を悼む五百羅漢像など市内を案内し、バーベキューで地元の海産物を振る舞った。
 震災発生時に釜石市釜石東中の副校長だった洋子さんは、想定にとらわれない避難の大切さを伝えて「自分の命は自分で守れる大人になって」と語った。金子みのりさん(14)は「事前学習では分からないことが多くあった」と振り返る。
 陸前高田市の民泊修学旅行受け入れ実績はグラフの通り。本年度は全国12校の2553人を見込む。首都圏を中心に、新たに関西からも訪れる予定だ。
 滞在中の過ごし方は受け入れる家庭によってさまざま。調整窓口を担う一般社団法人「マルゴト陸前高田」理事の古谷恵一さん(31)は「震災学習にとどまらず、心の触れ合いが思春期の生徒たちに深い印象を残しているようだ」と話す。
 民泊修学旅行がきっかけで移り住んだ若者もいる。17年度に高校2年で訪れた鈴木空慈(こうじ)さん(18)は今春、神奈川県から転居してリンゴ農家を手伝う。農業や地方の生活に関心があり「人付き合いの深さが陸前高田の魅力」と語る。
 ただ、受け入れ家庭は約150世帯にとどまっているのが現状だ。生徒にどんな取り組みをさせるか、頭を悩ます家庭も少なくないという。
 そこでマルゴト陸前高田は本年度、受け入れ家庭や市民による情報交換を始めた。体験施設や飲食の割引券も提供し、負担軽減と地域活性化を図る。古谷さんは「まち全体で受け入れる雰囲気をつくりたい」と意気込んでいる。


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2019年05月29日水曜日


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